2018年02月

友情の松伐採作業動画ヴァージョン2

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松の木は残った

松の木は残った

ー千本松原築山顛末記ー 林茂樹

千本松原の松の木は、伐採されずに残りました。多くの皆さまの温かいご支援のおかげだと心から感謝申し上げます。

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平成二十六年、沼津市は住民の命を津波から守る津波避難施設という名目で、千本松原の一画に「築山」(人工高台)を造成する計画を立てました。千本松原の松を百何十本も伐採し、田子の浦港の浚渫(しゅんせつ)土にセメントを混ぜて盛り土をし、標高十五㍍の「築山」を造成しようということでした。

これを知り、同年九月十六日、時の栗原裕康市長、副市長、教育長をはじめとする沼津市当局と、市議会議員の皆さまに「千本松原の松を守ってくださいー」という請願書を提出いたしました。しかし、聞く耳を持ってはいただけませんでした。

そこで「松の木伐採反対」の署名運動に入り、沼津牧水会や市民の皆さまのご協刀を得て、数日で数千人の署名が集まり、十月九日、市長に署名簿を提出しました。

栗原市長は、十一月十三日に植生学専門の宮脇昭横浜国立大学名誉教授を招いて意見を聴いたものの、松の伐採方針も、「築山」の高さの変更もしないとの意を表明しました。

これに納得できず、十二月十二日、松を伐採せずに津波から住民の命を守るための代替案を提示するなどしながら、松の伐採反対運動を継続してまいりました。

二十七年三月、沼津市は、「築山」の造成に伴う松の伐採計画をやっと見直すことになり、磐田市から樹木医の正木伸之氏を招き、「孤高の松」「夫婦(めおと)の松」と愚生(ぐせい)が名付けた三本の太い松の根回しを実施し、発根状態を見守ることになりました。

このため、三本の太い松の移植が可能であることが確認できるまでは、「築山」造成に着手しないであろうと思っていたところ、三本の松を避ける形に「築山」の一部形状を一時的に変更し、十月一日から造成工事に着手すると地元の自治会に通知したということを知りました。

驚いて、九月二十四日、これに反対する嘆願書を栗原市長に提出しましたが聞き入れてもらえず、造成工事が始まり、翌二十八年三月末には、太い松三本を避けた形で一部土嚢(どのう)積みの「築山」が完成しました。

その後、三本の太い松の樹勢と、「築山」は危険な山ではないのかと気にしながら見守ってまいりましたが、三本の太い松の根回しをして三年を迎えた今月八日、樹木医が松の発根状態を確かめることになり、現場に立ち会わせてもらいました。樹木医が出した結論は、移植したら枯れる可能性が高いということでした。

このため、沼津市当局は、三本の太い松の移植を断念。「築山」の土嚢積みになっている部分について、三本の松の木の根を圧迫しないように配慮しながら補強し、安全な「築山」にする計画だそうです。

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千本松原は戦国時代、戦乱によって伐採されたものの、増譽上人(垂蓮寺の開山)が塩害に苦しんでいた住民と力を合わせて復元した松原だと伝えられております。

また、大正十五年には、この千本松原の松を伐採しようとした県の計画に、歌人若山牧水は、乗運寺住職杯彦明(はやし・げんみょう)や住民と共に反対する運動に立ち上がり、この計画は中止されました。

住民によって植えられ、幾世代もの人々によって守られてきた千本松原は、沼津市にとって、かけがえのない大切な財産です。

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今、千本松原の松の木が一本も伐採されず、生かされることに感謝し、現に存在する「築山」が、多くの方に親しまれ、愛される、松原と一体化した美しい「山」になってくれることを期待することにいたします。

そして、自然と共に生きているのだということを再認識し、自然を大事にしていきたいと思います。ご支援してくださった大勢の皆さまに、あらためて心から御礼申し上げます。

(千本山乗運寺住職、沼津牧水会理事長)

(沼朝平成30217日号)
2018年02月17日09時26分07秒0001

築山、松を残して整備へ

発根不十分で移植不可能と結論

 市危機管理課は、千本松原内に建設中の津波避難用人工高台「築山」建設で、クロマツ三本=写真=の移植に向け、樹木医の正木伸之さんの指導で移植可能かどうか調査してきたが、十三日に行った発根確認の結果、三本とも「移植は困難」との結論となり、現状のまま築山の最終形整備を行うことを十四日に開かれた市議会総務委員会で報告した。

 築山の建設計画は平成二十六年に市が発表した。東日本大震災を受け、千本浜防潮堤脇にある市立ときわ保育所の職員や保護者から津波への不安が持ち上がり、市子育て支援課に要望が出されたのをきっかけに、当時の栗原裕康市長が袋井市で計画された「平成の命山」をヒントに築山を提案した。

 しかし、市民への事前説明もなしに建設のためにクロマツ百五十本程を伐採する計画であることを知った沼津牧水会の林茂樹理事長をはじめ住民らが「松は一本たりとも切ってはいけない」と、伐採中止要望書を栗原市長らに提出。その後、計画が見直され、築山の敷地として必要な場所に生えていたクロマツ九本のうち、比較的若い六本は別の場所に移植されて順調に根付き、樹齢五十年から百年以上と見られる三本については移植が可能かどうかを判断するため、正木さんの指導で二十七年四月に根回しを行い、昨年一月と今年二月八日に根の回復具合を調査した。

 正木さんによる調査の結果、一本は樹勢が弱く新しい発根が確認できなかったため移植不可。もう一本は樹勢が良く、発根が確認できたが、移植不可の木と根が複雑に絡んでいるため、結果的に移植は不可能と判断。

 一方、樹齢百年以上と見られる木については、樹勢が弱く、発根は確認できるが十分でなく、継続的に養生の必要があって移植にはリスクがあり、枯れる可能性があるとされ、三本とも移植せず、現状保存されることになった。

 松の伐採中止を要望してきた林理事長は、「松が一本も切られずに済んで良かった。要望に沿って松を残した市の努力に感謝している。築山が今後、避難施設として、どのような形になるか分からないが、安全に避難できるものになることを願っている」と話している。

 現在、築山は市民の散歩コースにもなっており、築山を歩いていた男性は「歴史のある松が切られずに生き残ったのは良かったと思う。避難施設としても縁起が良い。受験生の縁起担ぎにもなるのでは」と話していた。

 築山の最終形整備については三十年度中、この三本を撰した形での具体的な整備内容検討していくという。

【沼朝平成30217()号】


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