2020年12月

狩野川下流域の洪水対策工事完了

狩野川下流域の洪水対策工事完了

 沼津でお披露目式

 国土交通省沼津河川国道事務所が沼津市下河原町の狩野川下流域で実施した堤防かさ上げなどの洪水対策工事が完了し、26日、現地でお披露目式が行われた。

 2020年12月27日05時17分15秒0001k

 工事は同地区のスルガマリーナに隣接する南北約100㍍の堤防を、従来から11㍍かさ上げして高さ645㍍とした。マリーナの船舶が出入りする部分には、台風や津波などの増水時に浮力で水門が自動的に起立して閉鎖する「自立フラップ式ゲート」を採用した。総事業費は約9億円。工事完了に伴い、周辺区間の堤防上の通行も同日から可能になった。

 お披露目式には地元自治会関係者など約30人が出席。同事務所の職員が工事の概要などを説明し、出席者が出来栄えを確かめて完成を祝った。

【静新令和21227日(日)朝刊】



学術会議の任命拒否問題 小川良昭

時評 小川良昭

 学術会議の任命拒否問題

 裁量権逸脱かを判断

 2020年12月16日04時36分05秒0001このところ、日本学術会議の会員候補者の任命拒否問題が議論されています。

 日本学術会議は、1949年に「科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与すること」を使命として設立されました。

 日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄の下に、政府から独立して職務を行う特別な機関で、非常勤の特別国家公務員である210人の会員によって組織され、ほかにも約2千人の連携会員がいます。運営費は、総額約500億円を要したというアベノマスクに比べ、国費である日本学術会議の予算は、わずか約10億円ですが、うち約4割が約50人の職員の事務経費で、実際にさまざまな職務にあたる会員の活動経費はなかなかに窮屈なようです。

 今回、6人の会員候補者の任命が拒否されましたが、日本学術会議法では「日本学術会議は、優れた研究又は業績がある科学者を選考し、会員候補者として内閣総理大臣に推薦し、同大臣が任命する」とされています。

 そこで問題となるのは、内閣総理大臣の任命権の内容です。任命拒否理由について、これまで菅義偉総理大臣は、「総合的・俯瞰(ふかん)的な観点」「多様性の確保」「個別の人事」「国民・国会への責任」などを拒否理由にしているものの、残念ながら具体的な拒否理由は説明していません。

 ところで、行政行為では、時として、行政機関の裁量権の逸脱が問題となりますが、裁量は無制限ではなく、その行政行為について定める法律の制度や趣旨に照らして裁量の逸脱の有無を検討します。今回の任命拒否行為も行政行為ですから、法律的には、日本学術会議法の制度や趣旨に照らして拒否行為が裁量権の範囲を逸脱しているか否かを判断することが必要です。 その観点からしますと、任命拒否理由については、明確な理由が明らかになることが必要と思います。メディアによると、多くの国民が拒否理由を知りたいと報道されていますが、一法律家の私もその理由を知りたいものです。

 最後に一言です。今回の任命拒否を契機に、日本学術会議の在り方そのものも議論されるようになりました。しかし、日本学術会議の在り方の問題と、会員候補者の任命の問題とは全く異なるものであると思います。その在り方については、今後、日本学術会議法の制度や趣旨とともに、科学や学術の意味をも熟慮検討するなどして議論が深まることが望まれます。(弁護士)

 

☆ おがわ・よしあき 県弁護士会沼津支部所属。19449月、沼津市生まれ。沼津東高、京都大法学部卒。裁判官を経て弁護士に転身。日弁連常務理事、県弁護士会会長を歴任。元沼津市選挙管理委員会委員長、元法テラス沼津支部長。現在、県人事委員会委員長。

【静新令和2年12月16日(水)朝刊「時評」】

権力の問答無用常態化 保阪正康

現論 保阪正康

ほさか・まさやす 1939年札幌市生まれ。同志社大卒。「昭和史を語り継ぐ会」を主宰。昭和史の実証的研究を独自の視点で続ける。2004年に菊池寛賞。著書に「昭和陸軍の研究(上下)」「昭和天皇実録その表と裏」「ナショナリズムの昭和」(和辻哲郎文化賞)など。

 2020年12月13日03時44分30秒0001

権力の問答無用常態化

 日本学術会議の会員候補6人が任命拒否にあったという「事件」は、その後国会でも論じられているが、政府答弁はその理由をいまだ明らかにしていない。なぜだろうか。答えは簡単ではないか。つまり政府にとって目障りだからである。反政府的な声明の呼び掛け人であったり、その傾向が強かったりするからということであろう。

 こうした処置(権力を使った制裁ということになる)について、私は本質を見抜かなければならないと思う。拒否を取り消せとか、学術会議の体質を変えろとか、極めて近視眼的な論議があるが、表面を糊塗(こと)するにすぎない。もっと歴史的な視点が必要ではないか。

 私は既にこれは新しい形のパージ(追放)ではないかといった見方を示してきたが、さらに踏み込むと、もっと重要な意味があるように思う。

 監獄か面従腹背か 

 昭和ファシズムは、軍事があらゆる思想、哲学、制度を解体することで極めて分かりやすい形の国家体制をつくった。それは結果的に戦争に即応する便利な体制だつたのである。この体制の基本形は「正方形」である。一辺が情報管理(言論・表現の自由制限)、「辺が国定教科書の軍事化(児童生徒の想像力抑圧)、一辺が暴力(テロや官憲による拷問など)、最後の一辺が弾圧立法の拡大解釈(当局の恣意(しい)的判断)という枠組みに囲われたら、多くの人は黙ってしまう、ファシズムの完成である。

 それでも抵抗する人はいる。大体が共同体から放逐され、生活手段を失う。昭和ファシズムに向き合った時、結局は監獄生活か、面従腹背か、亡命か、自殺かといった道しかなかった。昭和史の検証が必要だというのは、こうした事実を教訓化できるか否かが問われているからだ。

 この正方形理論で見ていくならば、現代は昭和型のファシズムではありえない。ファシズムの怖さは国家権力が暴力化することである。むろん肉体的な暴力だけではなく、社会的、心理的な意味での暴力も含めてのことである。不安、おびえ、そして恐怖の感情が培養され、それゆえに自らを時流に重ねて安堵(あんど)するのである。昭和ファシズムに抵抗した人がほとんどいなかったことは、このようなサイクルに入り込んでいたからだ。

 任命拒否の意味 

 さてこうした構図を見たうえで、今回の任命拒否はどのような意昧を持つのか。私は、政府は6人に対して極めて無礼だと思う。拒否の理由を説明しないことは、人間としての尊厳を傷つけているという一事に気が付いていない。 私が昭和ファシズムより悪質だと指摘するのは、このような「問答無用、切り捨て御免」が、権力の側から常態化しているからだ。社会的批判がもつと高まっていい。「答弁を控える」という菅義偉首相の雷は、何度も繰り返されているのだが、よく考えるとこの言は犯罪性を帯びているのでは、とすら雷いたくなる。少なくとも社会的常識から逸脱している。

 現在が昭和ファシズムと同じ構図だなどというつもりはない。正方形の各辺が露骨になってきて、私たちをこの枠組みの中に押し込めようとしているわけではない。だが6人の任命拒否は、目に見えない形で自由社会に反する空気が生まれていることを示す。一見、民主主義社会の形が機能しているかに見えて機能不全を起こしている。ファシズムとは言わないけれども、新しい形の管理社会が生まれつつあるのかもしれない。

 この管理社会は今、国民各層に広がつているアパシーシンドローム(無気力症候群)や命令受動型、異端者排除の人々によつて支えられているように、私には思える。

 こうした現象が、新型コロナウイルス禍とどう関係があるのかは分からない。ただ神経質と書われるかもしれないが、コロナ禍が生み出す社会的変調が従来の価値観を変えることは間違いない。任命拒否が示している問題は、コロナ禍が遠因になっていると後年分析されるかもしれない。

 昭和ファシズムは正方形の囲みの中に、国民を閉じ込めた。今私たちは新たな正方形の囲いの中に追い込まれようとしているのではないか。その一辺には政府の無責任答弁、もう一辺には問題から逃げる国民意識があると言ったら言い過ぎだろうか。

 (ノンフィクション作家)

【静新令和21213日朝刊「現論」】

歴史民俗資料館移転検討 本年度閉校の内浦小へ

 歴史民俗資料館移転検討

 沼津市教委 本年度閉校の内浦小へ

 2020年12月12日04時59分55秒0001沼津市教育委員会が、沼津御用邸記念公園(同市下香貫)内にある歴史民俗資料館を、本年度末で閉校する内浦小(同市内浦三津)へ移転することを検討している。11日の市議会11月定例会総務委員会で示された市個別施設計画案に盛り込まれた。

  歴史民俗資料館は太平洋戦争で焼失した旧御用邸の本邸跡地に建てられ、1974年に開館した。国の重要有形民俗文化財に指定された「沼津内浦・静浦及び周辺地域の漁労用具や、県指定の農耕用具などの資料約5万点を収集保管し、一部を展示している。ただ、津波浸水想定区域にあり、老朽化も進んでいて、移転を検討することになった。

 内浦小は来年度から西浦小、長井崎中と統合され長井崎小中一貫校になる。市教委によると、資料館移転の具体的な時期や展示内容は未定だが、校舎を改修して転用する形を想定している。現在、2カ所に分散している資料収蔵庫も集約したいという。

(東部総局・山下奈津美)

【静新令和21212日(土)朝刊】

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