映画で心に残る町おこし 沼津・上本通り商店街

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 映画での町おこしに取り組む沼津市中心部の上本通り商店街振興組合(長谷川徹理事長)が23日、初の名画上映会で、同市本郷町の主婦保坂泰代さん(60)が出演した故木下恵介監督=浜松市出身=の名作「二十 四の瞳」を取り上げる。地元で再び注目されることになった保坂さんは「恥ずかしい気持ちです」と照れながらも、「若い人たちに見てもらいたい」と話してい る。
 姉の故章子さんとともに12人の子役の1人として出演。西口ミサ子の分教場時代を保坂さんが、本校時代を章子さんがそれぞれ演じた。子役は兄弟や姉妹1組で公募、全国から約1800組が応募したという。
 保坂さんは当時、沼津市立千本小の2年生。香川県小豆島での撮影は昭和29年3月に始まり、約2カ月半、旅館に泊まり込んだ。「みんな同じぐらいの年だから、すぐに仲良くなりました」と懐かしむ。
  印象深いのは、大石先生の見舞いに行くことを、子供たちが相談するシーン。木下監督が雲の位置や煙突の煙の流れに納得せず、何度も撮り直した。「その時は 分かりませんでしたが、今考えるとあのこだわりはすごかった」と振り返る。監督や俳優の素晴らしさとともに、「役者経験のない子供の素の演技が、ヒットの 一因になったのでは」との思いも強い。
 上本通り商店街には、30―40年代、10軒近い映画館があった。保坂さんの出演を以前から知っていた長谷川理事長は「知名度とともに、沼津とのゆかりを重視した」と、「二十四の瞳」を選んだ理由を説明する。
 台本の1ページ目にある「人間の幸福と平和を希ふ」との一文が、「木下監督の思いそのものでは」と保坂さん。「平和への願いや教師と教え子の心の触れ合いなど、見た人が何かを感じ取ってくれれば」と願う。
 上映は午後1時からで、入場無料。会場は同市大手町の沼津信用金庫大ホール。
(静新06年12月20日朝刊)