山口源大賞に小林氏・木口木版の新表現に成功

沼津市は二十七日、国内で発表された優れた版画作品に贈る「山口源大賞」に、版画家で多摩美術大教授の小林敬生氏(六三)=東京都品川区=の木口木版画「白い朝又は早暁ー塔05・03Cー」を選んだと発表した。
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山口源大賞は沼津ゆかりの国際的版画家・山口源(一八九六-一九七六年)の偉業を顕彰する目的で昭和五十八年に制定した。選定は二年に一度で、小林さんは十三人目の大賞受賞者となった。
木口木版は木材を輪切りにした木口を版木として使うため、通常は小画面の作品しかできない技法だが、小林さんの作品は縦八十?、横百二十?の大作。中原佑介選考委員長は微妙な色調を出した手法にも着目し、「木口版画の新たな表現を生み出すことに成功している」と評した。
小林さんが木口木版にのめり込むきっかけとなった日和崎尊夫氏も平成三年に大賞を受賞しているため、感激は大きく、「今までの受賞とはまったく意味の異なる喜びに浸っている」とコメントを寄せた。
小林さんの作品は歴代の大賞作品とともに七月十四日から沼津市庄司美術館(モンミュゼ沼津)に展示される。(静新平成19年6月28日(木)朝刊)