光だけで動くモーター
東京工業大教授ら開発
「 樹脂ベルトが伸縮、駆動」
光を当てるとプラスチックのベルトが伸縮して車輪を回す。そんな世界初のモーターを東京工業大資源化学研究所(横浜市緑区)の池田富樹教授(高分子化学)と山田宗紀研究員らが開発した。ドイツ化学会誌に十九日までに発表した。
光のエネルギーを電気に変えて利用する太陽電池とは違い、光を動力に直接変えるため、太陽エネルギーを効率よく利用する未来の動力源として期待できそうだ。
池田教授らは二〇〇三年、アゾベンゼンという物質を主成分とするプラスチックが紫外線を当てると縮み、可視光を当てると元に戻ることを発見。当初は高温でないと変形しなかったが、成分を変え、室温でも変形させることに成功した。
このプラスチックのフィルムをポリエチレンフィルムと張り合わせ、厚さ約○・〇七?のベルト状の輪に加工。直径が十?と三?の二つの車輪にかけた。小さな車輪に紫外線、大きな車輪に可視光を当てると、紫外線で縮んだフィルムの部分が可視光で元に戻る反応が連続的に起こり、車輪が回るモーターになった。大きな車輪が一回転するのに約一分。フィルムの伸縮力は人間の筋肉の四倍で、伸縮を七秒間隔で三十時間続けても発生する力は変わらない。
(静新平成20年7月20日「科学」)
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