スルガ銀不正融資

スルガ銀投資用不動産融資事件新聞「静新」

2018年10月06日11時38分26秒0009k



2018年10月19日10時59分52秒0001



検証 スルガ銀問題 下

問われる「地銀の責務」

信頼回復再生への道

 「以前にも増して地域の振興へ力を入れてほしい」ー。投資用不動産融資を巡る不正が横行していたスルガ銀行に対し、金融庁が一部業務停止命令を出す2日前の3日午前。沼津市のスルガ銀本店を訪ねた沼津商工会議所の岩崎一雄会頭は、向かい合った有国三知男社長にこう伝えた。

 両者の面会は、有国社長が9月に就任してから初めてのこと。開口一番、不祥事を陳謝したという有国社長に向けられた岩崎会頭の言葉には、「いま一度、この地域に目を向けてほしい」という地元経済界トップとしての思いが込められていた。

 約30年前にリテール(個人取引)特化の戦略へかじを切ったスルガ銀。独自のビジネスモデルで成長を続けるにつれ、主戦場は首都圏などへと移り、地元とは距離が生まれていった。「ポートフォリオ(資産構成)を都市部に寄せすぎた」(有国社長)ことは結果的に、今回の不正融資問題にもつながった。

 第三者委員会は、不正の舞台となったパーソナル・バンクが利益至上主義へと暴走した原因の一つに、「他に業績を頼る部門がなかったこと」を挙げた。県内などのコミュニティ・バンクにも「無関係でない」と断じた文言は、足元の弱さゆえに起きた問題でもあったことを印象付けた。

 今後の焦点はスルガ銀の再生へ移る。不正がまん延していた企業風土の改善やシェアハウスオーナーへの対応、高収益の源泉だった投資用不動産融資に代わる新たなビジネスモデルの構築といった山積する課題に加え、そこでは地域経済を支える地銀本来の責務も問われる。

 有国社長は「リテールを中心とした業務運営に変わりはない」とするが、県内には長年にわたりスルガ銀と取引をしている中小企業なども少なくない。同市中心部で商店を営む男性は「資金だけでなく、知恵や情報など地元の銀行だからこそ持っているものを、地域の産業界発展のために提供してほしい」と望む。

 金融などが専門の丹羽由一静岡産業大経営学部長は「地銀はまさに地域の顔」と強調。スルガ銀の再生を左右するのは、信頼を回復した上に産学官金の要の役割や事業承継などの仲介機能を果たすことで、「地域から頼られる存在になれるかどうかだ」と見通す。

 就任時に「地域のお客さまも大切にしていく。もう一度、取引したいと思ってもらえるような銀行にしたい」と誓った有国社長。その道筋をどう描くのか。創業の地からも厳しい視線が注がれている。

(東部総局・橋爪充、経済部・関本豪が担当しました)

【静新平成30108日(月)朝刊】


スルガ銀の組織的不正認定

2018年09月08日05時40分28秒0001s

不正融資調査 第三者委報告

「スルガ手法」業界まん延か

不動産バブル崩壊への道

 シェアハウスへの不正融資にのめり込んだスルガ銀行を、外部弁護士の第三者委員会が断罪した。不動産会社と裏でつながり、高額物件を会社員らに買わせる手法は「スルガスキーム」と呼ばれ、業界にまん延しているとのうわさもくすぶる。超低金利で膨らんだ不動産投資バブルは崩壊への道をたどり始めた。

 不適切融資の主舞台となった横浜東口支店。元専務執行役員が稟議(りんぎ)書に目を通す毎週水曜日は、販売協力会社が出入りし、深夜までごった返した。

 番頭急逝

 審査書類の改ざんに手を染めた協力会社の社員は「びくびくして待つが、融資を断られることはなかった」と明かす。審査部門は元専務執行役員が率いる営業部門にどう喝され、ほぼ100%承認した。

 スルガ銀は住宅ローンの竸争激化を背景に2000年代後半、ワンルームマンション投資への融資を拡大。恋愛感情を利用したデート商法による詐欺が横行してブームが下火になると、アパートやシェアハウスへと軸足を移した。協力会社には「デート商法で問題になった顔ぶれのダミー会社が紛れ込んでいた」(第三者委関係者)が、営業部門は黙認していた。

 営業を重視し法令順守を軽視する風土を作り上げたのは、岡野光喜会長の実弟で番頭役だった喜之助副社長と、第三者委の報告書は認定した。その喜乏助氏も15年には見かねてシェアハウス関連取引を禁じたが、元専務執行役員らは無視。喜之助氏が翌年急逝するとたがが外れ、暴走に拍車が掛かった。

 「卒業」

 1985年にトップを世襲した光喜氏は、個人向け融資にかじを切り「地銀の風雲児」と呼ばれ、社内では「聖域化」した。近年は過去最高益を更新し続けたが、取締役会は事業計画を営業部門に任せきりだった。第三者委は、不正融資の根底には「意図的と評価されてもやむを得ない放任や許容があった」と指摘した。

 「コンシェルジュ」「夢先案内人」。スルガ銀が掲げた経営理念は、任期が異例の3年に及んだ金融庁の森信親前長官が唱えた「顧客本位の経営」を体現するかのようだった。だが、営業部門は「崇高な目標を掲げられても飯は食えない」と冷ややかだった。執行役員から取締役に昇格することは第一線から退く意も込めて「卒業」と呼ばれ、金融庁幹部は「企業統治が軽んじられていた証左だ」と切って捨てた。

 サブプライム

 「もう暴かないでくれ」。問題を追及する弁護士には不動産業界から圧力とも受け取れる声が強まり始めている。日銀の統計では、国内銀行が今年46月期に個人の貸家業向けに新規融資した額は5603億円と、ピークだった1679月期から半減した。今回の件を受けて融資引き締めの動きが広がり、不動産業界は青息吐息だ。

 スルガ銀は過剰融資のつけが回り、今年6月末の不良債権額が前年同期の46倍の1356億円に膨らんだ。8月末には、投資用アパート企画・管理の「TATERU(タテル)」でも類似の審査書類改ざんが発覚した。

 問題の闇は深いとみるインターネット上では、10年前のリーマン・ショックの引き金となった不良債権になぞらえ「日本版サブプライム」とささやかれ、次の火種を探す動きも出始めている。

【静新平成3098()朝刊:経済】

2018年09月08日09時34分11秒0001

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