文化審議会が答申
登録有形文化財・中川家住宅など
文化審議会(阿刀田高会長)は二十日、重要有形民俗文化財一件と重要無形民俗文化財九件の指定、登録有形民俗文化財三件と登録有形文化財百三十九件の登録を小坂憲次文部科学相に、「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」六件の選択を河合隼雄文化庁長官にそれぞれ答申した。
県内では「蛭ケ谷の田遊び」(牧之原市蛭ケ谷)が「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に、中川家住宅(伊豆の国市奈古谷)関連の四件と旧岩渕(いわぶち)火の見櫓(やぐら)(富士川町南松野)が登録有形文化財に答申された。
蛭ケ谷の田遊びは二月十一日夜、豊作を祈願して蛭児(ひるこ)神社境内で演じられる。演じ手は細長く切った白い紙を数多く束ねて垂らした綾笠(あやがさ)を頭からかぶり、おかめの面に振り袖姿の者や菅笠(すげがさ)と羽織姿の者なども加わって、稲作作業の様子などを演じる。楽器の伴奏が全くないなど、芸能の変遷過程や地域的特色が表れている。
伊豆の国市奈古谷の中川家住宅(旧高井治兵衛別荘)は昭和二年の建設。大正デモクラシーをけん引した政治学者・古野作造の呼び掛けで現地に生まれた別荘群で唯一建物が現存する。当時の洋風別荘建築の特徴を示す主屋、物置、ポンプ室、四阿(あずまや)が対象になった。旧岩渕火の見櫓は昭和二十六年、消防団車庫の付属施設として建設され、昨年、現在地に移築された。高さ約十八?で、くびれを持つ八角形の屋根が特徴。
「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」は、現時点では重要無形文化財に指定されないが、今後の調査結果で指定の可能性があるものなどが対象で、蛭ケ谷の田遊びを含め県内で二十三件となる。県内の登録有形文化財(建造物)は百十一件となる。(静岡新聞)