「衰退し続ける『地方都市再生の道』をさぐる」まえがきより
私は今は沼津市民ではありませんが,故郷沼津市への愛着から,都市づくりを巡って,もう少し,行政も市民も,対立のための紛争ではなく,ほんとに住みやすい町を作るために,もっと冷静で本質的な論議をすることが必要だと思い,何かと発言してきました。この小冊子は,そのような思いに立って,少しでも市民,行政の間で冷静,理性的な論議が生まれ,解決へ進むことを願って,都市計画・土地問題の一専門家として,沼津駅周辺総合整備事業を客観的,理性的に眺め,評価したものです。この本がこういった論議に多少とも役に立てば,幸甚であります。
2007年1月長谷川徳之輔
ただ今、沼津マルサン書店にて販売中
長谷川教授が沼津考える一冊
『衰退し続ける「地方都市再生の道」をさぐる』
沼津市のまちづくりについて沼津朝日紙上や各種勉強会などで発言してきた長谷川徳之輔・明海大教授が、『衰退し続ける「地方都市再生の道」をさぐる』を出版した。
長谷川教授は、沼津に生まれ高校卒業時まで過ごした故郷が半世紀を過ぎ、衰退していく姿を目にし、いたたまれない気持ちから同書で都市計画・建設不動産の専門家として故郷再生策を提案している。
大学卒業後、当時の建設省に入省。経済企画庁や都市住宅整備公団などで調査企画に従事した後、財団法人建設経済研究所常務理事を務め、建設経済、社会資本、建設不動産業、土地問題などを研究。政府税制調査会特別委員、経済審議会委員などを歴任。
また、一九八七年に設置された沼津駅周辺総合整備計画調査委員会の委員として、中心市街地のまちづくりを論議してきた。そうした経験を基に、同書では二十世紀における日本や沼津市などの人口推移、沼津市財政の現状、将来の沼津市の姿などを数値で示しながら、これからのまちづくりを説く。
人口減少による少子高齢化時代の地方都市問題、癒着した政官業の利権構造、鉄道高架事業が地方都市再生の救世主になりうるのか、世界一恵まれた都市環境・沼津市、沼津駅付近鉄道高架事業の意義と問題点、次代の子ども達に沼津市が残すものは何かなどを解説。
建設省の官僚時代、多くの公共事業を手掛けてきた長谷川教授だけに説得力は大きい。鉄道高架に反対、賛成の立場を超えて、沼津市をいかにしたら良いかを考えようという一冊。
A5判、百二十二ページ、千五百円プラス消費税。マルサン書店仲見世店で扱っている。(沼朝07年02月01日号)