沼津・鉄道高架
推進、反対派一堂に
知事と初の意見交換
JR沼津駅周辺の鉄道高架事業で、川勝平太知事と地元の推進派、反対派が一堂に会した初の意見交換会が23日午前、沼津市原の松蔭寺で開かれた。推進派からは経済人らでつくる「沼津駅の高架化を実現する市民の会」、反対派からは地権者や地元住民などで組織する市民団体の各10人が出席し、「県東部の発展に欠かせない重要事業」「理由や効果があいまいで納得できない」などと見解を述べた。
推進派を代表し、沼津商工会議所の後藤全弘会頭が「中心市街地の渋滞解消に加え、土地区画整理事業やコンベンションセンター整備など東部地域の拠点都市にふさわしいまちづくりを進める上で不可欠」と事業の必要性を強調。「長い年月をかけて合意形成され、度重なる市長選挙などで争点になり、推進する市民の支持を受けてきた。多くの市民が、一日も早い完成を望んでいる」と必要性を主張した。
反対地権者らでつくる「チェンジ沼津」の山田孜さんは事業の費用便益比の算出根拠や新貨物駅の取扱量が約3倍になる理由が「分からない」とし「多額な税金を投入するムダな事業を見直すべきだ」と主張した。JR沼津駅前で今月実施した通行人へのアンケート調査の結果を示し、「事業を知っている人でも賛成者は14%、86%は反対。事業が時流に合わないという認識が浸透している」と述べた。
会を提案した川勝知事は「推進派、反対派の間にできた溝を何とか埋めたい」と開催の動機を述べ、「互いの主張を相手の立場で聞いてほしい」と呼び掛けた。
沼津駅周辺の鉄道高架に伴い、貨物駅を同市原地区に移転する事業。新貨物駅用地9万2千平方㍍のうち、用地取得率は70%にとどまっている。同事業を含む「沼津駅周辺総合整備事業」は昨年11月の事業仕分けで対象になった。
(静新平成22年1月23日(土)夕刊)