「住まいの心得」建築家のひとりごと
自然の変化を 感じられる家に
植物などの緑かもしれないし、山や川、空、雲、星、光を思い浮かべる方、雨や雪、台風など少しネガティブな意味でとらえる方もいるかもしれない。いろいろな例が挙げられそうだが、自然とは常に変化するものと定義することができる。
都市部に比べ、岐阜は多くの自然に囲まれている。僕は20代を東京で過ごしたため、岐阜の自然の豊かさには常に新鮮な気持ちにさせられる。
住まいとなる建築は、常に自然と向かい合っている。最近の住宅は、サッシの気密性や空調機器に代表されるように、人工的に建物から自然を断絶し、環境をコントロールすることが当たり前となってきた。
確かに、それによって生活がしやすく過ごしやすい住宅が可能にはなった。でも、本当にそれだけが豊かな生活と言えるのだろうか?
「空ってこんなにいろんな色があるんだ!」「ガラスに雨粒がゆっくり伝っていく様子がきれいだなあ」「ビールグラスを透過する太陽の光がとても鮮やかだ」
自然は多くの予期しない風景を運んできて、人はいろいろなことを自然から学び、また感動する。
建築は、予期しない風景を映し出す「鏡」だ。自然のコントロールを意識しすきるあまり、忘れられてしまった大切な感覚。そういう感覚を取り戻せる住宅を、考えていきたいと思っている。
(らいふくれよん岐阜グループ・武藤圭太郎建築設計事務所=岐阜市=代表・武藤圭太郎)
【らいふくれよん】建築家が主体となり工務店、各種専門業者が一体となってオリジナルの住宅を設計、施工する団体。岐阜、愛知、三重県に各グループがあり、岐阜グループの窓口の岐阜サロンは各務原市那加前洞新町2の114、電話058(371)7528、アドレスはhttp://www.lifecrayon.co.jp
【岐阜新聞2010年(平成22年)5月26日水曜日】