「千本松原」構想に合意
東部コンベンション施設
県と沼津市代表企業
基本協定を締結
JR沼津駅北側に整備する東部コンベンションセンター整備事業について、川勝平太県知事と栗原裕康沼津市長は29日県庁で会談し、同市の景勝地「千本松原」を施設全体のコンセプトに据えた上で、富士山の眺望を生かすよう配置を改めた新たな施設構想に合意。県と市、事業の優先交渉権者代表企業の大和ハウス工業は同日付で基本協定を締結した。
県は会議場、市は展示イベント施設と駐車場、民間事業者はホテル(客室150室)を建設し、県東部のにぎわい創出の核施設を目指す。川勝知事は「県産材を多用し、個性が明確に見える施設になりそうだ」と期待感を述べた。海沿いに松が立ち並ぶ千本松原をイメージし、会議場1階のエントランスギャラリーなどに県産材を8~900本使用し、富士山を望む屋上庭園や壁面緑化を設置する。
売却益の活用を想定していたマンション建設の取りやめなどの影響で、県、市、民間事業者の総事業費は当初提案の168億円から18億円減の150億円に減る。このうち民間事業者の負担分は54億円から30億円に減額となり、県はマンションの床面積に応じた土地分の収入がなくなるため支出が64億円が70億円程度に増えそうだという。市負担額は50億円のまま。
市施設は2013年、県施設は14年のオープンを目指す。指定管理者制度を導入し、県外の同規模の施設との比較をもとにした試算では年間の運営コストは県施設が3億円、市施設が1億2千万円を見込む。
関連記事
整備「鉄道高架が前提」
東部コンベンションセンター
沼津市長 事業進展に期待
県と沼津市、企業グループが29日、基本協定を締結した県東部コンベンションセンター。鉄道高架事業を含めた沼津駅周辺総合整備事業を構成する6事業の一つで、川勝平太知事との会談に臨んだ栗原裕康市長は「事業が進めば当然『高架をやらない手はない』という事になる」との見通しを示し、同センターの整備は鉄道高架が前提との認識を強調した。
協定締結は、事業内容の見直しにより当初予定から1年遅れ。市が建設する展示イベント施設のオープンも1年遅れることになった。取り壊しのため3月末の閉館予定だったキラメッセぬまづは今年1月、急きょ1年延長の措置を取った。
見直しは「千本松原」をコンセプトにホテル機能の強化やにぎわい空間創出、県産材の活用など、鉄道高架のメリットを生かし東部地域の拠点施設としての役割強化を求める県の意向を全面的に受け入れたため。市が受けた影響について、栗原市長は会談後「遅れはよりよい物をつくるためのコスト」と説明した。
鉄道高架事業の事業費ベースの執行率は08年度末時点で1・8%。栗原市長は会談後の会見で同事業の現状を「全く停滞している」とした上で、「駅周辺は区画整理などで大きく変わりつつある。すべて、高架を前提に進められている」と重ねて述べた。
駅周辺総合整備事業の残る4事業のうち市街地再開発事業はすでに事業費が全額執行され、ほかも9・9~53・6%となり、09年度決算をもとにした執行率は一部でさらに伸びる見通し。
(静新平成22年11月30日朝刊)