父を刺殺容疑 長男逮捕
沼津 否認後、認める供述
1日午後10時10分ごろ、沼津市原1740の1、無職宮代次郎さん(60)方で、長女(30)から「父が血だらけで倒れている」と119番があった。宮代さんは病院に運ぼれたが、約1時間半後に死亡した。沼津署は2日、宮代さんを刃物で刺して殺害したとして、同居していた長男の無職宮代新容疑者(27)を殺人の疑いで逮捕した。
逮捕容疑は1日午後10時ごろ、自宅で宮代さんの胸や背中などを刃物で数回刺し、殺害した疑い。同署によると、新容疑者は逮捕直後、「間違いではないでしょうか」と容疑を否認していたが、その後、容疑を認める供述をしているという。
同署によると、宮代さんは妻(57)、新容疑者と3人暮らし。帰省中の長女を含めて当時、家族4人全員が自宅にいた。宮代さんは2階建て住宅の1階寝室で寝ていたとみられる。2階の自室にいた長女が大きな悲鳴を聞いて1階に降り、血まみれの宮代さんを発見したという。
同署によると、外部からの侵入や室内が荒らされた形跡は無かった。同署は新容疑者の服に返り血が付いていたことや、凶器とみられる刃物が家屋内に残っていた状況などから新容疑者の犯行と判断した。同署は動機などを調べている。
元日の夜近隣住民驚き
沼津市原の閑静な住宅街で元日の夜、複数の刺し傷を負った男性が救急搬送され、間もなく死亡した。深夜にパトカーが集まり、住民から「何があったのか」と驚きの声が聞かれた。
近所の住民によると、逮捕された無職宮代新容疑者(27)は事件の1、2カ月前から現場となった実家に戻り住んでいた。高専を卒業後に就職したが、心臓が弱く退職し、家庭教師などをしていたこともあったらしい。近所のスーパーで買い物をする姿が時折見られたという。
亡くなった宮代次郎さん(60)は、美術教員として務めていた県立高校を昨年春に定年退職した。近所の50代男性は「父子ともに物静かな印象で、けんかをするような様子はなかった」と話し、60代の主婦は「正月早々、家庭内で何があったのだろうか」と不安げに話した。
(静新平成24年1月3日朝刊)