2015年07月

高尾山古墳(沼津)類似例各地に

高尾山古墳(沼津)類似例各地に

 遺構とインフラどう両立

 保存要望で計画変更も
2015年07月27日12時56分39秒0001 

 都市計画道路建設に伴う墳丘取り壊しの是非が議論を呼ぶ沼津市の高尾山古墳に、類似事例のある県外自治体の文化財関係者が関心を寄せている。高尾山古墳と同様、遺構とインフラの両立が難航するケースは少なくない。

 宮城県栗原市の「入の沢遺跡」は工事中の国道バイパスの北端にある古墳時代前期の大規模集落跡。日本考古学協会が7月、「大和政権と北方世界の関係性を考える上で、極めて重要」として保存を求める要望書を出した。工事継続の可否を国土交通省、県、市が協議している。

 宮城県文化財保護課の担当者は「各地に高尾山古墳のような事例がある」と指摘する。「報道などで世の中に広く知られることで、全国から知見が集まる」と期待も込める。

 遺構を残すために道路と河川堤防の計画を変えたのが岩手県平泉町の柳之御所遺跡。1988年以後の発掘調査の結果、12世紀の奥州藤原氏の政務拠点だったことが判明した。北上川の堤防と国道バイパスの建設予定地だったが、93年に計画変更し、川、堤防、道路を東に移した。

 岩手県平泉遺跡群調査事務所の担当者は「保存を求める20万人の署名が集まった。行政と住民が対話を続けたことで遺跡保全と水害対策の両立策が生まれた」と振り返る。

 長野県松本市の弘法山古墳は高尾山古墳と同時期の3世紀前半に造られた前方後方墳。市内を一望する標高650㍍の弘法山頂上に位置する。全長60㍍超で、高尾山古墳と並び東日本最古とされる。

 発掘調査後の76年、国の史跡指定を受けた。山裾に桜の木が数千本植えられ、春は花見客が集う。松本市教委文化財課の担当者は「原形保存を求める市民の声が市を動かした。JR松本駅から約2㌔という立地も史跡公園として整備する上で幸いだった」と話した上で、「良い形で残す方法が見つかればいいが」と高尾山古墳を案じた。

 *高尾山古墳 全長約62㍍、高さ約5(推定)の前方後方墳。2008年以後の沼津市教委の発掘調査で、3世紀前半の古墳としては弘法山古墳(長野県松本市)と並び、東日本最大規模であることが判明した。

【静新平成27727()朝刊】

社説<2015.7.25>沼津の高尾山古墳

社説<2015.7.25>

 沼津の高尾山古墳

 広く声を聞いて結論を

 沼津市の都市計画道路建設予定地にある高尾山古墳の行方に関心が集まっている。沼津市が道路建設を前提に墳丘を取り壊す方針を発表した同じ日に、日本考古学協会は古墳の保存を求める会長声明を出したことで、高尾山古墳は一気に注目を浴びている。

 古墳の存在は40年近く前から地元では知られていた。2008年から2年間の市教委の発掘調査で、土器や青銅器が多数出土し、古墳時代初期(3世紀前半)に造られた全長62㍍の前方後方墳と判明した。この時期の前方後方墳としては国内最大級で、日本考古学協会は「東日本屈指の有力首長が埋葬された」と歴史的な価値を訴える。

 現存する古墳をすべて残し、道路建設を進めることは現実的に困難なのは否めない。まずは幅広く声を聞き、打開策を探ってほしい。

 古墳周辺の自治会が道路の渋滞緩和などのため、道路の早期建設を求めていることも忘れてはならない。市議会は6月定例会で墳丘の取り壊しを伴う発掘調査費5100万円を盛り込んだ補正予算案を可決した。しかし、古墳の存続を求める声が高まる中、栗原裕.康市長は道路建設を強行しない考えを述べた上、今後の計画を学識経験者などを交えて公開の場で協議していく方針を表明した。古墳を保存するか、取り壊すか、のいずれでも、地域の遺産として活用できるような知恵も出し合う場にしてもらいたい。

 日本考古学協会の会長声明は、085月に広島県福山市鞆(とも)の浦で計画されていた埋め立てなどの撤回を求めて以来という。同様に静岡県考古学会も、30年近く前に磐田市の一の谷中世墳墓群の保存を要望した時以来となる声明を出した。

 沼津市も古墳の価値を認めていないわけではない。古墳がこのように注目される以前から、墳丘を壊さないで道路を建設する手法を探ってきたのは確かだ。迂回(うかい)路や古墳の下を通る地下道の建設、道路の高架も検討したが、構造上無理と判断した。墳丘の一部を残して道路建設を進める手法も考えたが、新たな用地買収が必要になるなど実現へのハードルは高いとして、墳丘を取り壊す道路建設の計画を立てた。

 こうした経緯も沼津市は今後の議論の中でしっかり説明すべきだ。貴重な前方後方墳と分かる前に、墳丘の3割近くが既に工事などで取り壊されている現状を認識する必要もある。

 地元の住民有志も保存を求めて活動する団体を結成した。道路建設を望む住民との対立に至るような議論は避けなければならない。

【静新平成27725()社説】

高尾山古墳協議会盆明け議論開始

高尾山古墳協議会盆明け議論開始

 沼津市の栗原裕康市長は21日の定例会見で、都市計画道路「沼津南一色線」予定地にある高尾山古墳(同市東熊堂)の発掘調査方法などを学識経験者を交えて検討する協議会の開催時期について「お盆明けには立ち上げたい」と話し、8月中~下旬から議論を始める意向を示した。国土交通省、県、文化庁に参加を求めていると述べ、「学識経験者の人選も進めている」と語った。

 同古墳は3世紀前半の前方後方墳。市議会6月定例会で墳丘を取り壊す発掘調査費を盛り込んだ本年度一般会計補正予算が可決された。古墳の文化財としての価値の高さが強調された市議会での議論を受けて栗原市長は、古墳の保存と道路の建設の両立を目指して今後の方針を定める協議会の設置を決めた。

 同古墳をめぐっては、地元自治会が市長に道路の早期完成を望む要望書を提出する一方、墳丘の現状維持を求める市民団体は勉強会や署名活動を行っている。

【静新平成27722()朝刊】

 

高尾山古墳問題で協議会

 詳細は今後、市民傍聴も

 栗原裕康市長は二十一日、市長定例記者会見で高尾山古墳の保存問題を扱う協議会の概要を説明。八月中旬には第1回を開催し、協議会が出した結論については「尊重するが、最終的には行政判断。私が判断する」とした。

 この協議会は、六月三十日に古墳調査費を含む補正予算案が市議会で可決された直後、報道各社から取材を受ける中で栗原市長が開催を表明していた。その際、市長は調査の一時保留も明言している。

 記者会見での説明によると、協議会開催については、県だけでなく、国土交通省や文化庁にも協力を依頼しているほか、「中立」の学識経験者の出席も予定されている。

 学識経験者の人選は市が行うが、「中立」の定義について栗原市長は「大変難しい問題だ」とし、出席者として望ましい人物像については「過去の経緯を知っている人」を第一条件に挙げる一方、「何が何でも道路を造れ、何が何でも古墳を残せ、という人は困る」との考え方を示した。

 開催形式の詳細については未定で、第1回で終わる可能性もあれば、複数回の可能性もあるという。協議会の終了スケジュールについては、「なるべく早く結論を得たい」とだけ述べた。

 第1回については、傍聴という形で市民の参加を受け付けるという。

【沼朝平成27722()号】

高尾山古墳の保存を求める要望書(沼津市長・市教育長・県知事・県教育長宛て)

                             平成27年7月15

 

 沼津市長     栗原裕康様

 

                  高尾山古墳を守る市民の会 代表 杉山治孝

                                                高尾山古墳を考える会      代表 瀬川裕市郞

                                                                               (日本考古学協会会員)

                                                高尾山古墳の保存を望む会 代表 吉田由美子

 

高尾山古墳の保存を求める要望書

 

 沼津市東熊堂で発見された高尾山古墳は、邪馬台国・卑弥呼時代の東国最大級最古級の古墳であり、東日本で一、二を争う首長の墓であると考えられています。

 こうした重要性から日本考古学協会は、高尾山古墳の保存を求める会長声明の中で同古墳を「日本国民共有の文化財」と評価しています。

 しかしながら、沼津市は古墳を少しずつ取り壊す方法による記録保存調査の予算を6月30日の市議会で通過させました。この古墳を少しずつ剥がして行くという方法では、やがて高尾山古墳は姿を消すことになります。

 その後、栗原裕康市長の英断で調査の実施を保留し、古墳の取り扱いについて再検討すると公表しましたが、「ぬまづの宝」であり「日本国民共有の文化財」でもある高尾山古墳は、依然として存続の危機に立たされております。

 1800年にもおよぶ長い期間、先人が伝え残してきた文化遺産を後世に伝えることは、現代を生きる私たちにとっての責務の一つであります。

 また、文化財保護法にも謳われているように、古墳や遺跡などの文化財は「将来の文化向上発展の基礎をなすもの」であり、全国的な評価を得ている高尾山古墳の取り扱いは、沼津市における文化のあり方を考える上でも、非常に重要な問題です。

 ここに私たちの要望趣旨にご賛同いただいた市内文教関係者等の皆様と共に、高尾山古墳を現状を保ったまま保存することについて強く要望ます。

 

 私たちも高尾山古墳を保存することに賛同します。

  浅井 治(歯科医) 磯部泰行(医師) 飯尾紀彦(地域デザイン研究所主宰) 小野眞一(元日本考古学協会委員) 加藤雅功(日本大学名誉教授)  木村光正(本光寺住職) 菊川信明(三陶会) 小林俊憲(医師)

 小池一廣(地域デザイン研究所) 坂部利夫(弁護士) 笹津海道(妙海寺住職) 佐藤光德(吉祥院職) 下山光悦(大中寺住職) 塩谷政徳(国士舘大学教授) 仙石 規(郷土史家 医師) 土屋詔二(学校法人エヌ・アイ・エス学園理事) 中川寿一(旭園) 長澤靖夫(前沼津市教育長)  鍋倉郁子(バイオリニスト) 長谷川徹(柳屋) 林 茂樹(乗運寺住職) 保坂輝夫(ギャラリーほさか) 細沼賢一(弁護士) 阪東邦彦(本町まちづくり研究会会長) 原井慈鳳(妙泉寺住職)横田泰洋(塩満寺住職)  山本龍樹(歯科医) 渡辺利明(著述家)

 

 

 

 

                             平成27年7月15

 

 沼津市教育委員会  

  教育長 工藤達朗様

 

                  高尾山古墳を守る市民の会 代表 杉山治孝

                                                高尾山古墳を考える会      代表 瀬川裕市郞

                                                                        (日本考古学協会会員)

                                                高尾山古墳の保存を望む会 代表 吉田由美子

 

 沼津市東熊堂で発見された高尾山古墳は、邪馬台国・卑弥呼時代の東国最大級最古級の古墳であり、東日本で一、二を争う首長の墓であると考えられています。

 こうした重要性から日本考古学協会は、高尾山古墳の保存を求める会長声明の中で同古墳を「日本国民共有の文化財」と評価しています。

 しかしながら、沼津市は古墳を少しずつ取り壊す方法による記録保存調査の予算を6月30日の市議会で通過させました。この古墳を少しずつ剥がして行くという方法では、やがて高尾山古墳は姿を消すことになります。

 その後、栗原裕康市長の英断で調査の実施を保留し、古墳の取り扱いについて再検討すると公表しましたが、「ぬまづの宝」であり「日本国民共有の文化財」でもある高尾山古墳は、依然として存続の危機に立たされております。

 1800年にもおよぶ長い期間、先人が伝え残してきた文化遺産を後世に伝えることは、現代を生きる私たちにとっての責務の一つであります。

 また、文化財保護法にも謳われているように、古墳や遺跡などの文化財は「将来の文化向上発展の基礎をなすもの」であり、全国的な評価を得ている高尾山古墳の取り扱いは、沼津市における文化のあり方を考える上でも、非常に重要な問題です。

 ここに私たちの要望趣旨にご賛同いただいた市内文教関係者等の皆様と共に、高尾山古墳を現状を保ったまま保存することについて強く要望ます。

 

 私たちも高尾山古墳を保存することに賛同します。

  浅井 治(歯科医) 磯部泰行(医師) 飯尾紀彦(地域デザイン研究所主宰) 小野眞一(元日本考古学協会委員) 加藤雅功(日本大学名誉教授)  木村光正(本光寺住職) 菊川信明(三陶会) 小林俊憲(医師)

 小池一廣(地域デザイン研究所) 坂部利夫(弁護士) 笹津海道(妙海寺住職) 佐藤光德(吉祥院職) 下山光悦(大中寺住職) 塩谷政徳(国士舘大学教授) 仙石 規(郷土史家 医師) 土屋詔二(学校法人エヌ・アイ・エス学園理事) 中川寿一(旭園) 長澤靖夫(前沼津市教育長)  鍋倉郁子(バイオリニスト) 長谷川徹(柳屋) 林 茂樹(乗運寺住職) 保坂輝夫(ギャラリーほさか)  細沼賢一(弁護士) 板東邦彦(本町まちづくり研究会会長) 横田泰洋(塩満寺住職)  山本龍樹(歯科医) 渡辺利明(著述家)

 
 
 

 

                        平成27年7月16

 

 静岡県知事 川勝平太様

 

                               高尾山古墳を守る市民の会  代表 杉山 治孝

                                             高尾山古墳を考える会 代表 瀬川裕市郞

                                                      (日本考古学協会会員)

                                             高尾山古墳の保存を望む会   代表 吉田由美子

 

沼津市高尾山古墳保存の要望書

 

 沼津市東熊堂で発見された高尾山古墳は、邪馬台国の卑弥呼の時代に築造された東日本最大級、最古級の古墳とされています。この古墳に対して日本考古学協会は異例とも云える同協会長名で「駿河の歴史・文化的重要性を知る基点である」とし、さらに「日本国民共有の文化財」と高く評価し、地元の静岡県考古学会も「最初の『ふじの国の王』となった人物」が沼津の金岡地区に実在したことを示すものとしています。

  しかし、この古墳が沼津市の都市計画道路沼津南一色線予定地内にあることから、沼津市は道路建設のため記録保存をしながら、古墳の大部分を取り壊す意向を示し、そのための予算を市議会で可決させました。

 一方、沼津市は静岡県を含む関係機関と再協議をすると表明し、そうした中で6月25日の静岡県知事は定例会見で、古墳と道路との「両立」を強く望んでいると発言されています。

  すでに日本考古学協会が表明している通り、この古墳は「日本国民共有の文化財」と認識し、この古墳を現状のまま保存されるよう強く要望します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        平成27年7月16

 

 静岡県教育委員会 

     教育長 木苗直秀様

 

                               高尾山古墳を守る市民の会 代表 杉山 治孝

                                             高尾山古墳を考える会 代表 瀬川裕市郞

                                                      (日本考古学協会会員)

                                             高尾山古墳の保存を望む会    代表 吉田由美子

 

沼津市高尾山古墳保存の要望書

 

 沼津市東熊堂で発見された高尾山古墳は、邪馬台国の卑弥呼の時代に築造された東日本最大級、最古級の古墳とされています。この古墳に対して日本考古学協会は異例とも云える同協会長名で「駿河の歴史・文化的重要性を知る基点である」とし、さらに「日本国民共有の文化財」と高く評価し、地元の静岡県考古学会も「最初の『ふじの国の王』となった人物」が沼津の金岡地区に実在したことを示すものとしています。

  しかし、この古墳が沼津市の都市計画道路沼津南一色線予定地内にあることから、沼津市は道路建設のため記録保存をしながら、古墳の大部分を取り壊す意向を示し、そのための予算を市議会で可決させました。

 一方、沼津市は静岡県を含む関係機関と再協議をすると表明し、そうした中で6月25日の静岡県知事は定例会見で、古墳と道路との「両立」を強く望んでいると発言されています。

  すでに日本考古学協会が表明している通り、この古墳は「日本国民共有の文化財」と認識し、この古墳を現状のまま保存されるよう強く要望します。

高尾山古墳の存続を求める署名活動

平成27年7月20日(月)午前10時沼津駅南口付近
●高尾山古墳を守る会代表 杉山治考 ●高尾山古墳を考える会 瀬川裕市郎 ●高尾山古墳の保存を望む会 吉田由美子
 
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