2016年11月

栗原市政に「ノー」平成28年10月31日(月)静新記事・沼朝記事・毎日石川記者

 

沼津市長に新人大沼氏

投票%4094% 現職栗原氏に大差

2016年10月31日05時25分15秒0001k 

任期満了に伴う沼津市長選は30日、投票が行われ、即日開票の結果、無所属で新人のIT企業社長大沼明穂氏(57)が、無所属で3期目を目指した現職栗原裕康氏(67)11自民、公明、民進推薦口を破って、初当選を果たした。投票率は低迷した前回選(3621%)を上回り、4094%だった。

大沼氏はIT企業など成長産業の誘致や18歳以下の医療費無料化などを訴え、「沼津浄変える」とアピール。現市政の批判票を取込んだ。長年の懸案ンなっている鉄道高架車業についても賛否を明言せず、高架賛成派、反対派双方から一定の支持を得た。

 栗原氏は、主要政党に加えて産業界など幅広い団体の推薦を得て組織戦を繰り広げたが、票を伸ばせなかった。

午後1010分すぎ、沼津市本町の大沼氏の事務所に当確の一報が届くと、集まった約100人の支援者から大きな歓声と拍手が沸き上がった。花束を受け取った大沼氏は満面の笑みで「沼津を変えたい人たちの信念が市民に届いた。みんなでこれからの沼津をつくっていこう」と声を張り上げた。

 

「市政不満の受け皿に」

(解説)低迷する沼津市を立て直すトップに、市民は市政刷新を訴えた新人大沼明穂氏(57)を選んだ。有権者が「変化」へのかじ取り役を託したとも言えるが、実際は現市政に不満を持つ多くの市民が"第三勢力"として、大沼氏を強力に支持したにすぎない。

市内は深刻な人口減少や中心市街地の衰退、進展が目に見えない鉄道高架事業など閉塞(へいそく)感に満ちている。IT企業など成長産業の誘致や保育料の近隣市町以上の軽減など、訴えた政策を実現するために、大沼氏は早急に財源の裏付けとともに具体策を示す必要がある。

長年の懸案の鉄道高架事業について、大沼氏は選挙戦で「財政が懸念されるため検証したい」との姿勢に終始した。鉄道高架は川勝平太知事が「不退転の決意で取り組む」と進め、市議会内でも推進派が28入中22人を占める。推進するのか、見直すのかー。まずは大沼氏なりの「結論」を議会側からも求められるのは必至だ。

(東部総局・田村和資)

【静新平成281031()朝刊一面】

 

栗原市政に「ノー」

 沼津市長選本社出口調査

「評価しない」52%

 鉄道高架化争点ならず
2016年10月31日05時26分16秒0001k 

 沼津の現状に不満を募らせた有権者が現職に「ノー」を突き付け、"現状打破"の希望を新人の大沼明穂氏(57)に託した。30日に投開票された沼津市長選の期日前投票で静岡新聞社が有権者600人に行った出口調査では、現職の栗原裕康氏(67)28年間に対して52%が「評価しない」と回答した。市政刷新を託された大沼氏。今後4年間、人口減対策や中心市街地の活性化など山積する課題への対応を求められる。(東部総局・中村綾子)

 栗原氏の28年間について「どちらかといえば評価しない」(32%)「全く評価しない」(20%)と現状への不満を訴えた層の多くが大沼氏を支持。有権者からは「何も変わらなかったと感じる」(40代女性)「経済も子育ても、近隣市町に後れを取っている」(60代男性)など、厳しい現職批判の言葉が寄せられた。「どちらかといえば評価する」は30%で、「とても評価する」と答えた人は全体の5%にとどまった。

 栗原氏が強い姿勢で推進を訴えた鉄道高架事業について尋ねたところ、「財政面の検証をしたい」などと態度を明確にしなかった大沼氏が反対派の9割弱から支持を受けた上、賛成派の4割も取り込み、今回の選挙では鉄導同架が明確な争点にはならなかった。事業について「分からない・無回答」とした人も全体の25%に上り、都市計画事業の認可から10年が経過した現在も市民の理解が進んでいない現状をうかがわせた。

 自民党支持層の5割弱が大沼氏に流れ、主要政党の推薦を受けて組織戦を展開した栗原氏と二分する結果になった。全体の3割を占める無党派層のうち、約7割が大沼氏を支持した。

 

 栗原氏「私の力不足」

 沼津市上香貫槙島町の栗原裕康氏(67)の事務所に栗原氏敗戦の一報が伝えられると、事務所内に集まった支援者からは「えー」「まさか」とどよめきが起き、陣営関係者は一様に硬い表情を見せた。栗原氏は「万全の応援態勢をとっていただいたにもかかわらず、このような結果になったのはひとえに私の力不足」と頭を下げた。

 28年の実績や国、県との強いパイプを前面に打ち出し、政党や各種団体の推薦を得て圧倒的な組織力で戦った選挙。相手候補に票差をつけられた結果に「過去の市政が市民から否定されたということ。深く反省している」と受け止めた。

 推進を訴えてきた鉄道高架事業については「ぜひ進めていただきたい」とし、「政策を地道に、堅実に前に進めてきたつもりだが、市民は劇的な成果を望まれたと思う」と述べた。

【静新平成281031()朝刊三面】

 



大沼氏が初陣飾る

 市長選挙 栗原氏三選ならず

 投票率は前回を上回る

 次の四年間の市政の舵取り役を選ぶ市長選挙は三十日に投票が行われ、新人の大沼明穂氏が当選した。今回選挙も前回選挙と同様、現職と新人の一騎打ちとなった。鉄道高架を争点だとした現職に、再検証の必要性を主張した新人。また、自民、公明、民進各党と連合の推薦を受けた現職に対して、市民レベルでの支援態勢となった新人。対照的な両氏の争いにおける投票率は4094%。前回を若干上回った。

 鉄道高架事業について、明確に推進を主張した栗原氏に対して、大沼氏は、いずれとも結論を示さず、財政など改めて検証すべきだとの姿勢を貫いた。このため、大沼氏を支援する中にも、もどかしさやイライラ感を募らせる向きがあったことは否定できない。また選挙に臨む態勢も、大所帯の栗原氏陣営と市民グループが集まって手探り状態で運動を進めた大沼氏の陣営だったが、現状の停滞感への不満から大沼氏への期待が高まった。

 当選が確実となり、大沼コールで迎えられた大沼氏は、支援者と握手を交わし、頭を下げ、「皆さまのおかげで当選できた」と第一声。「皆さまの声をまとめ、共に実現するために死に物狂いでやる。沼津が好き、沼津を何とかしたいという皆の思いが、ヒシヒシと伝わってきた。市民が政治に参加することを実感して市をつくり、子ども、孫達に譲り渡していく、そういうことをする時が来たと思う」と話した。

 一方、敗戦の結果を受け、支援者の前に姿を現した栗原氏は「万全の応援体制の中で、このような結果になったことは、ひとえに私の至らない…不徳のいたすところ。ご支援いただいた方に心からお詫びしたい。新しい市長には、ぜひ頑張ってもらいたい」と語り、敗因としては、「私の市政が市民から評価されなかった」とした。

 市長選挙の開票結果

 当 四三、一五九票 大沼明穂57無新

   二四、五三八票 栗原裕康67無現

【沼朝平成281031()号】


沼津市長選 毎日新聞のweb解説

3選阻んだ「沈滞」
 沼津市長選は新人の大沼氏が現職の栗原氏に圧勝した。大沼氏が勝ったというより、栗原氏が惨敗した選挙だった。

 3選を目指す栗原氏に立ちはだかったのは、大沼氏ではなく沼津の沈滞だった。人口流出、中心市街地衰退、地価低下。「県東部で一番都会的な沼津を取り戻す」と栗原氏は主張したが、「沈滞の張本人は栗原氏」と有権者は判断した。栗原氏の得票2万4538票は、前回得票の約69%に過ぎない。自民、民進、公明の主要3政党が推薦し、市内経済団体などの支持も得ていながら、これほど票を減らす現職も珍しい。

 一方、大沼氏が戦った相手は栗原氏ではなく、政治へのあきらめだった。

 大沼氏の掲げた政策は栗原氏と大きな違いはなかったが、選挙戦ではチラシなどで「沼津市民の皆さん、変えるなら今」と強調し、栗原氏以外の選択肢があることを有権者に印象づけた。前回36・21%だった投票率は40・94%と4ポイント以上上昇。元々あった栗原氏離れに加え、これまでの政治に期待をしていなかった層が「変革」を求めて投票し、結果的に大沼氏の圧勝につながった。

 大沼氏が直面する最初の壁は、過半数が栗原氏を応援した市議との関係改善だろう。でも「沼津を元気にしたい思いは同じ」(大沼氏)なら、壁は乗り越えられると思いたい。
【石川宏】

 

 

沼津市長選検証上・中・下:静岡新聞

市長選に何が起きたのか:沼朝記事

市民は”刷新”を求めた

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