支援ロボット使った手術

 県がんセンターで2000症例超え

2020年03月14日12時35分10秒0001 県がんセンターが201112月に開始した手術支援ロボットの手術数が昨年11月で2000症例を超え、直腸がんの手術数は今月に入って累計1000症例に達した。

 手術支援ロボットの手術は、大腸がんや胃がん、前立腺がん、縦隔腫瘍を対象に行われており、その中でも同センターの大腸領域の手術数は全国でも突出している。

 ロボットを使った直腸がん手術を行うには、厚生労働省と関連学会による様々な施設規定や術者規定があり、同センターの大腸外科医師5人は、術者として求められる高いハードルを全てクリア。年間180症例以上を扱うのは国内トップクラス。

 同センターで手掛けている大腸領域のがんのロボット支援手術は多くが直腸がんで、腹部に開けた小さな傷から器具(鉗子)を挿入し、術者は3Dカメラが映し出す映像を見ながら操作する。

 用いる器具は人間の手のように先端が自由に曲がり、術者が意図する手の動きを忠実に再現できるため、ミリ単位の正確な作業を難なく行えるのが最大の特長。

 直腸が位置する骨盤内はQOL(生活の質)に関わる臓器や神経が多くあるが、支援ロボットを使った手術は、従来型の開腹手術や腹腔鏡下手術より体への負担が少なく、がんの根治性や肛門、排尿、性機能などの機能温存の向上が期待できる。

 同センターの2019年までの全直腸がんの術後排尿障害は16%(全国平均37159%)、局所進行直腸がんの術後局所再発も2%(全国平均5-10%)と発生率が少ない。

 同センター大腸外科部長の塩見明生医師は「ロボット手術といえども、ロボットが車の自動運転のように勝手に手術を行うわけではない。熟練した技術を有する外科医がロボツトのテクノロジーをうまく利用し、術者の能力を、さらに増幅させ、より良い治療に導くことができる」などとコメントしている。

【沼朝令和2年3月14日(土)号】