事業者の苦境、各分野で
新型コロナ感染症経済対策連絡会
市は、第1回沼津市新型コロナウイルス感染症経済対策連絡会を17日、沼津商工会議所会館大会議室で開いた。「今般の新型コロナウイルスのまん延による経済状況に鑑み、一刻も早い支援策を検討する」ことを目指し、新型コロナウイルス感染症による経済的な影響を把握、分析し、今後の対応策を検討するためのもの。商議所が行ったアンケート調査で「大きなマイナスの影響が出ている」と回答した小売業、宿泊業、飲食業から一部企業の経営者がオブザーバーとして出席した。
売り上げ激減と雇用維持に
固資税、家賃、光熱水費の減免希望
ハローワーク沼津(沼津公共職業安定所)の市川富章所長は「事業所の雇用を維持していかなければならないが、初めて雇用調整助成金を使う企業の人達には最初から説明しなければならない」と説明。窓口対応するのにリーマンショック時と違って新型コロナウイルス感染防止策を講じながらとなり、混雑気味になっていることを示唆した。
沼津観光協会の高野貴好会長は、新型コロナウイルスの感染が1月終わりごろから日本でも言われ始め、当初はインバウンド(外国人の訪日)に依存した観光業が影響を受けていたが、その後、幅広い業種に拡大した点を指摘。
「感染拡大を抑えようとすれば、経済活動は停滞するが、今は、とにかく抑える時期。他の市町では5月6日までの休業に補償するところがあるが、沼津はやらないのか」と尋ねた。
ワシントン靴店の杉山高明代表取締役は売り上げについて、「3月は50%減少くらいだったが、今月に入って2割とか、限りなくゼロに近い厳しい状況だ」と現状を説明。
経済上、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が雇用維持のため休業手当に要した費用を助成する雇用調整助成金については、「初めてなので色々調べなければならない」とする一方で、経済対策として「やはり家賃を下げてほしい」と求めた。
桃中軒の宇野秀彦社長は「ここしばらく、コロナに向き合いながら、どうやって会社を存続させていくか自問自答していた」と言う。
売り上げは3月に入って対前年で半減し、「今月は15%取れればいいかなという状況。飲食店は、ほぼ同様の傾向だ。本来なら今は歓送迎会などで年間を通じて売り上げが好調な時。我々の業界で15へ%というのはゼロに近い。営業する意味があるのかという問題に2カ月以上向き合っている状態で、
状況は刻一刻と悪くなっている」。
また、「人の動きが制限されている中で、売り上げを伸ばしていくのは現実的ではない。従業員1人1人を守っていくことが事業を継続していくことの大前提だと思っている。雇用を守るにはどうしたらいいのか。雇用調整助成金を使っていく以外にないのではないか」などとした。
さらに、水道料金の免除を求めるとともに、近隣市町と連携して、電気事業者と話し合い、「電気料金の基本料部分だけでも免除するようにしてもらいたい」「固定資産税の免除の対象は事業用家屋となっているが、土地にも対象を広げてもらいたい。この辺りは痛みを分け合いながらやっていかなければならない。来月、再来月をどうしていくかが死活問題になっている」と主張。
沼津グランドホテルの小森裕之専務取締役は「宿泊業は、本当にひっ迫している。東日本大震災以上になっており、お願いしたいのは固定資産税の減免。今年度後半から減免していただきたい」と要望。
また、コロナ終息後、個人旅行が増えてきた際に食事券を配布するなど観光客への効果的な手段が講じられるよう行政と宿泊業界、飲食業界の連携の必要性を挙げた。
雄大の土屋雄二郎社長は「固定費だけでも大きな金額がかかってくるので、(業務を)やらざるを得ない状況もあってやってきたが、3月終わりごろから(売り上げが)激減している」ことを話した。
その上で、この地域で一時的に収まっても他の地域から入ってきて再び拡大するなど、感染拡大と終息を繰り返していると、「相当な企業が倒産することもあり得る」との見方を示した。
さらに、「一番負担が大きいのは家賃。家賃交渉しても、応じてくれる大家さんは(全体の)2割ぐらい。(市が)固定資産税(の減免)ができないとしても、大家さんに(市から)要望を出してもらいたい。個人レベルでは大家さんは応じてくれない。大家さんは(建物建設などに要した自身の)返済スケジュールが滞ると言うが、そこは(行政が)連携した形で対応してもらいたい」などと要望した。
これら主張や要望などに対して市商工振興課の八木健一課長は、具体的な回答は庁内での検討後になるが、スピード感をもって対応できる支援方法を考えたい、と応じた。
また、高峯聡一郎副市長は「皆さんから意見をうかがい、我々の想定以上の状況を感じている。(発言のあった民間事業者には)来週、早速ご相談にうかがわせていただく。できるだけスピーディーに対応していくのが重要なこと」だとした。
【沼朝第20107号2020年(令和2年)4月21日(火曜日)】