早期に地域懇談会計画
教育長議会答弁 緊急事態の解除後
沼津市議会9月定例会は27日、本会議を再開し、5人が一般質問を行った。奥村篤教育長は、第一と第二校区統合に対し反対論や慎重論が出ていることについて「地域懇談会を行う計画を立てている」と、緊急事態宣言解除後の早い時期に改めて説明する考えを明らかにした。梶泰久氏(市民クラブ)への答弁。
奥村教育長は第二校区の小中学校の児童・生徒数が減少し、一定規模の維持が困難と統合の必要性を強調。保護者会や意識調査で第一校区との統合を求める意見が多かったことも挙げ、「統合を検討することとした」と答えた。
一方で、第一・第二中学校区適正化推進委員会を立ち上げ、重ねてきた議論内容を文書にして地元に発信してきたものの、「周知の方法に工夫の余地があったと反省している」とも述べた。子供同士の交流の場も設けるとした。
頼重秀一市長は両地域の特性を生かしたまちづくりを進める考えを示した。一般質問は長田吉信(公明党)、浅田美重子(自民沼津)の両氏も行った。
(東部総局・高橋和之)
【静新令和3年9月28日(火)朝刊】
学校統合の質問に答え
市議会定例会教育長が考え
市議会9月定例会は27日に再開し、一般質問を開始。新型コロナ感染拡大防止対策のため各会派1人、無所属の1人を含む8人に登壇者を絞り、あす29日までの日程で、いずれも一括方式により質問する。27日は午前、梶泰久(市民クラブ)、渡邉博夫(志政会)、長田吉信(公明党)各議員が質問に立った。
梶議員は、第一・第二中学校区における学校規模・学校配置の適正化について質問。これまでの経過や学校統合の必要性、児童生徒数推移に基づく統合判断の妥当性、適正化推進委員会等での協議内容と経緯、関係者とのコンセンサスを得るための取り組み、統合に伴う学校施設の活用などについて尋ねた。
奥村篤教育長は「第二中学校区内の小中学校の児童生徒数は減少傾向が続き、一定規模を維持するのは難しい。教員数の減少、様々な教育活動が限定されるなどの課題を解決する必要がある」とし、二中の保護者会で保護者から二中校区との統合も考えるべき」との意見があったことや、保護者意識調査で一中との統合を希望する意見が最も多かったことから「中学校区の垣根を超えた統合を実施することにした」と説明。
統合の妥当性については、国の基準値を反映した令和元年度の基準値により、令和5年には千本小で複式学級が発生すると予測したが、その後、千本地区への児童の転入により回避される見込みとなったのに、6月18日に開催した第一、第二中学校区適正化推進委員会では、その説明が不十分であったとし、「不適切であったと反省している」とした。
一方で、ここ数年、千本小の児童数は各学年10人前後で推移し、数年以内に複式学級が発生する可能性もあること、二小、二中の児童生徒数の推移からも適正規模を維持するのは難しい」と指摘し、「近隣に統合可能な学校が存在することも鑑み、中学校区を含む統合は妥当」だとの考え方を示した。
第二中適正化推進委員会で統合案を示したところ、小学校を一小、中学校を一中への統合を希望する意見が多かったが、一部の委員から「小学校は一小に、中学校は二中に統合してほしい」との意見もあり、保護者向け意識調査を実施したところ、保護者の多くが一中への統合を希望。推進委員会で議論を重ね、「の意見に配慮した」とした。
また、関係者のコンセンサスを得るための取り組みとして二中校区内で保護者説明会や意識調査を実施し、地域住民に対しては各地区連合自治会、地区コミュニティの会合に出向き、学校統合の必要性について説明してきたことや、適正化推進委員会での協議内容を「推進委員会たより」にまとめ、通算11回発行して保護者や幼稚園、保育所で配布し、組回覧して最大限の努力をしてきたが、一部の委員から統合方針に反対する旨の要望書が提出されたことを説明。
「緊急事態宣言が解除され次第、できるだけ早い時期に地域懇談会を開催し、市長部局とも連携し、施設等の活用についても広く意見をうかがいながら、ていねいに対応していきたい」とした。
一方で、第一・第二中学校区の保護者からは、「統合が頓挫するようなことはしてほしくない」「統合には賛成だからソフトランディングでやるべき」、地域住民からは「子ども達のために早期に統合してほしい」「統合後も運動場や体育館などを使わせてほしい」「第二中学校区から小中学校を全て無くしてしまうことに反対である」など、様々な意見が寄せられていることにも言及。
また、統合方針撤回を求める要望書が第二地区コミュニティ推進委員会や第二校区の各自治会のPTAなどから提出され、「方針は維持しつつも意見交換の場を持ちたい」と提案しているが、「第二地区コミュニティ推進委員会や一部の自治会が、方針撤回に応えていないことを理由に、提案を受け入れてもらえない」とした。
「教育委員会としては地域の皆さんの不安が解消されるよう、地域懇談会の実施などで、ていねいに説明を尽くしていきたい。統合に不安を感じている保護者や子どもの不安の解消のために、子ども同士が交流するプログラムを着実に進めていく」とした。
また、学校施設の利活用については、地域の実情を踏まえて、防災機能を維持し、退避施設としての利用、コミュニティ機能の確保、まちづくりの資源としても利用し、公共施設として教育委員会が窓口となり、関係各課と協議して検討していくとの考えを示した。
地域住民からは「体育館やグラウンドを使わせてほしい」などの要望があり、「地域の声に耳を傾けながら、体育施設としての利用など、施設の有効活用について市長部局の関係各課と連携して対応していく」とした。
さらに、「地域学一習活動を通じて子ども達の郷土に対する愛着を育み、子ども達が積極的に地域に関わろうとする土壌を醸成していくことも教育の役割。地域総がかりで子ども達の成長を支えていくことは、子ども達が自分らしく社会に参加する力を育て、地域の力を強める。子ども達が主体的に地域を担う存在となり、地域の活力を維持する原動力としての貢献を期待する。地域総がかりでの教育を推進し、まちづくりの一翼を担ってほしい」とした。
頼重秀一市長は「教育の中立性から教育行政の組織及び運営に関する法律で首長の教育行政の権限は予算執行、教育財産の取得、処分等と定められている。市長の権限の範囲内で教育振興に携わり、学校施設の活用については教育委員会と連携して地域住民の声に耳を傾け、前向きに進めていきたい」と答えた。
【沼朝令和3年9月28日(火)号】