2021年12月

山下富美子議員の弁明 小澤隆議員の懲罰賛成討論(沼朝12月19日記事)

山下富美子議員の弁明

5点にわたり懲罰動議に反論

 市議会定例会は、最終日の17日、付託案件に対する委員長報告、それを受けての質疑、討論、採決に先立ち、山下富美子議員(未来の風)への懲罰動議について取り上げた。

 これは山下議員が7日に行った一般質問において不適切な発言があり、議会の権威、品位を傷付けたなどとするもので、動議への討論を前に山下議員が「一身上の弁明」。この後、山下議員が議場を退出し、小澤隆議員(志政会)が懲罰賛成の立場から発言した。

 山下議員の弁明と小澤議員の発言は次のようなもので、必要に応じて注釈や補足を加えた。(はじめに山下議員の弁明。小澤議員の発言については2)

 まず、お断りして.おきたいのは、私は懲罰動議が出される前に、私の一般質問に対する削除は求められておりません。7日の一般質問の後、私の発言について、いくつかの指摘が教育委員会から出されましたが、懲罰における私の一般質問が不適切とは、これまで一度も指摘されず、また文科省に行った報告からも、その指摘がされたとはうかがっていません。

 今後、万が一にも発言者の許可なく一般質問の会議録を削除することがあるとするなら、市民の知る権利を冒涜(ぽうとく)するものです。議長には発言取り消し命令権があり、これが行使されると私に発言取り消しの意思があろうがなかろうが会議録から削除されてしまいます。

 しかし、このような強権を発することがあっていいのでしょうか。かつて沼津市議会の歴史上あったのでしょうか。市民の知る権利を踏みにじる行為としか言いようがありません。

 もしも、そうしたことがあるのなら、どういった権限や根拠に基づいて削除するのか、市民に納得のいくように示していただきたいと思います。

 今回、懲罰動議の発議者から指摘されています、議会の権威と品位を著しく汚したという「教育長、それは大きな間違いですよ」といった発言について、懲罰特別委員の方々が誤解していると思われるので、説明いたします。

 私が「学校の設置者は誰ですか。それは、地方公共団体であって、教育委員会ではありません。学校教育法第2条、学校は地方公共団体が設置、この場合、地方公共団体を代表するのは誰ですか、市長ですか、それとも教育委員会ですか」という質問をしたところ、教育長は「執行機関は教育委員会である」と答弁しました。

 教育長は私の質問に答えず、はぐらかした答弁をしたので、「教育長、それは大きな間違いですよ」と言いました。

 教育長は、私の質問に答えていただけていない。このことへの間違いの指摘が、なぜ議会の権威と品位を著しく汚したと言えるのか、そして懲罰に値するのかわかりません。

 教育長の「執行機関は教育委員会である」という答弁の文言は、まったくその通りです。

 しかし、委員の方々は、私が、教育長が私の質問に答えていないことを「間違っている」と指摘をしたことを、最後まで誤解したまま懲罰の審議をしていたのではないか、と申し上げておきます。

 さらに、議長の命を受けて議会事務局が文科省に確認に行った際に示された見解と私の考えは、何ら変わることはないと思っています。

 まず、懲罰特別委員会の参考人であった議会事務局副参事によると、「地教行法(注・地方教育行政の組織及び運営に関する法律)21条におきましては、教育委員会の所管に属する第30条に規定する学校その他の教育機関の設置、管理、廃止に関することなどを教育委員会の職務権限として規定している」と説明されました。

 しかし、地教行法第21条の冒頭には、「教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務で、次に掲げるものを管理し、及び執行する」との前提が示されています。が、説明では、そこが省略されていました。

 加えて、副参事の説明によると、「学校教育法第2条、公立小中学校の適正規模・適正配置等に関する手引で規定する学校の設置者たる地方公共団体の示す範囲はという質問に対し、文部科学省からは、地方公共団体の長は市長」であること、そして、「地方公共団体には、行政機関、執行機関として教育委員会」があること、その上で、「学校の設置者たる地方公共団体の長と教育委員会が密接な関係で進めていくというスタンスであるという説明がございました」と述べています。

 つまり、私が質問した「学校は地方公共団体が設置、この場合、地方公共団体を代表するのは誰ですか、市長ですか、それとも教育委員会ですか」に対する答えは「市長です」と答えて下されば良かったのです。

 以上が私の弁明の大きな一点目。

 二点目。懲罰になった事由について、地方自治法第132条には「普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる議論をしてはならない」、第134条には「普通地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科すことができる」

 唯一、「議員必携」に懲罰の事由となる事項が7つ挙げられていますが、そのうちのどれに当たるのかについては、(懲罰特別委員会において)再三にわたる江本(浩二)委員の質問に、他の委員からの答えはありませんでした。

 (懲罰動議)発議者の提案である、私の言動が議会の権威と品位を著しく汚したと判断された点について、何が議会の權威を汚し、と品位を著しく汚しと判断された点について、何が議会の権威を汚し、何が品位を汚したのかについて、具体的に審議はされませんでした。

 ある委員から、私が市長や教育長を誹謗中傷し、侮辱するような発言を繰り返したとの指摘がありましたが、その誹謗中傷について具体的に指摘されたのは、教育長の答弁に対する「教育長、それは大きな間違いですよ」という発言と、市長の答弁に対する「大変残念な答弁です」という2点の発言であり、それが、市長や教育長を誹謗中傷し、侮辱する発言を繰り返したというものでした。

 また、他にも私の断定的な言動は無礼であり、侮辱することにもつながる、との指摘がありました。

 しかし、個人の見解を述べること、断定すること、私のこれらの言動が、不当かどうか、法的に誤っているかどうか、その指摘もなかった思いますが、もっと深く議論されるべき問題であったと思います。

 三点目。私が、これまで幾度となく発言の誤りで発言文章の削除と謝罪が議会運営委員会で行われてきたこと、私の発言、議場等での行動、行為について発言の重さや議員が守るべき品位を軽んじているとの指摘がありました。

 また、当選してから複数回にわたり問題の発言があり、発言を削除してきたことは、私の反省が生かされていないとありました。

 このような意見に基づく審議は、今回の懲罰に対する議論の範囲を逸脱しています。

 四点目。先ほど冒頭でも説明しましたが、ある委員が、私の一般質問が終了した後、二度にわたる議長、副議長からの丁寧な説明と文書削除の要請に応じなかったと指摘されていますが、何を指しているのでしょうか。少なくとも私は、「私の発言が、もし間違っているなら、削除に応じます」と言い、「そういうことだね」と念押しもされました。

 また、文科省へ確認に行くと言っていましたので、「私の発言文を持って行ってください」とお願いもしています。私は、どこを削除すべきかどうかについて今もって指摘を受けておりません。

 五点目。最後に(7日の一般質問における)私の「文部科学省に確認をした」という発言が、文科省の誰に対してなのか確認もできない危ういものだったという、ある委員の発言は明確に間違っております。(私は)副議長及び議会事務局に対して、私が直接話した文科省の職員について、その部署、名前について、はっきりとお答えしています。

 最後に、今回の私の言動が、議会の権威と品位を著しく汚し、懲罰に値するのかどうか、もっと議論が必要だったのではないでしょうか。こうした曖昧過ぎる基準で懲罰を科すことは、沼津市民の負託を受け、選挙によって選ばれた議員の言動に委縮効果を及ぼすことになります。

 議会が言論の府であるためには、言論の自由が保障されなければなりません。言論の自由は、民主主義の基本です。 持論を述べることを制限することは、議員の自由な議論に大きな影響を及ぼす危険をはらんでいます。議会は、多様な意見を反映する場として、言論の自由が保障されなければならないと考えます。 私は、市民の、たとえ一人の声だとしても、それが正しいと思えば、その声を市政に届け、当局に改善を求めてきました。私は市民の声なき声に耳を傾け、真摯に取り組む議員でありたいと活動してきました。

 このたびの懲罰は私にとって大変残念であり、受け入れがたいものです。ご理解ください。

 以上をもって一身上の弁明といたします。

【沼朝令和31219日(日)号】

 

   

 

 小澤隆議員の懲罰賛成討論

山下議員は不正確な法令解釈に固執と違反

 私は、山下富美子議員に対する懲罰の動議に、賛成の立場から意見を述べます。

 山下議員による今回の一般質問は、沼津市議会の申し合わせ事項を順守することなく、不十分な調査、聴き取りによって、一面的な理解による不正確な内容で展開されました。乱暴な印象を与え、恣意的で曖昧な、市民の誤解を生むようなものでした。

 そして、一身上の弁明では「削除は求められておりません」と発言がありました。しかし、少なくとも議長から正確さを欠く質問内容であることを指摘されながら、自身の主張に固執して何ら問題がない、としています。仮に誤りを指摘された、その場で、または一度指摘された内容を預かり、自身で再調査された後に誤りに気付き、認め、発言の削除を求めていれば今回の懲罰動議は行われなかったはずです。

 しかしながら山下議員から、そうした申し出がなかったことから、動議の提出となりました。

 そして、懲罰(特別)委員会の中で山下議員は一身上の弁明をされ、「学校の設置者は市長か、教育委員会なのかという点について答えていただけなかったので、『教育長、それは大きな間違いです』と確かに言いました。教育長は、残念ながら私の質問にお答えいただけていない。このことへの間違いの指摘が、なぜ品位に欠けるのか私には全く分かりません」と述べられました。

 答弁が食い違っているという意味で教育長に間違いだと言った、教育長が私の質問に答えていないから間違いを指摘した、懲罰には及ばないというような主張をされているものと思います。

 しかし、その主張は到底容認できません。山下議員が示されたやり取りの前後の発言を踏まえれば、その主張は、あまりにも無理筋で、あまりにも都合のいいものだからです。自身の発言と、それに対する答弁の、ほんの一部だけを抜き出して、都合のいい主張をされているように思います。

 あえてここで、「答弁が食い違っているという意味で教育長に間違いだと言った」などといった山下議員の主張を強く否定いたします。そのような理由が懲罰に値しないのは当然だったのです。ましてや、厳しく教育長や市長をただしたからだとか、議会の中で少数派だからとか、そういった理由で動議が行われるはずもありません。

 なぜ、今回の事案が懲罰に値するのか、何が問題だったのか、今一度それを示します。

 まず、山下議員の法令解釈は不正確です。そして不正確な法令解釈からくる自身の発言を、文科省からの聴き取りなどとも取れる形で披露されています。勝手な拡大解釈をしながら行われました。

 例えば、「学校の設置者は誰ですか、それは地方公共団体であって教育委員会ではありません」という発言や、「この各設置者とは地方公共団体であり、つまり市長のことです」といった部分です。

 ここでいう学校の設置者である地方公共団体には教育委員会が執行機関として含まれています。地方公共団体が市長だけを指しているのではありません。山下議員の「教育委員会ではありません」という発言は不正確な解釈によるものです。

 山下議員は地方自治法第149条の「普通地方公共団体の長は公の施設を設置し管理し及び廃止すること」という部分だけを捉えて、地方公共団体イコール市長と認識しているように思いますが、言うまでもなく、地方自治法や学校教育法、教育基本法は、憲法を頂点として存在する一般法です。一般法は、あくまで広い意味で適用されるものであり、特定の事項について特別法が制定されていれば、特別法が優先されるのが法律の立てつけです。

 このケースでの一股法は地方自治法で、特別法は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」、略して「地教行法」です。地教行法の第21条に、学校の設置・管理・廃止は教育委員会の所管であることが示され、第22条に、首長が行えるのは教育財産を取得し及び処分することと、教育委員会の所掌に係る事項に関する契約を結ぶことが

職務権限として示されています。

 学校は、地方公共団体の執行機関である教育委員会が設置や廃止を決め、首長は教育委員会による設置や廃止の決定を受けて、契約や予算の執行を行うのであります。

 山下議員の法令解釈は、特別法は-般法に優るという特別法優先の原理を踏まえておらず、あまりにも不正確で乱暴です。そして、文科省に山下議員が主張されるような見解がないことは、議長の命による議員派遣でも確認が取れています。

 一方で山下議員は、自身の認識が文科省のお墨付きであると他者に誤認させるような発言をされています。そして、文科省がお墨付きを与えているとする自身の主張を認めない教育長に対して、「それは大きな間違いですよ」と発言され、同様に自身の主張を認めない市長に対して、地方自治法

244条の2に規定する、「公の施設の設置、管理及び廃止により学校の設置者たる地方公共団体」という部分を拡大解釈し、市長が、その権限を議会の議決によって執行できるものとしながら、「これ文科省にも確認したんですね。残念です」との発言をされています。

 山下議員は、不正確な認識を披露して、あたかも自身の認識について、そのお墨付きがあるかのごとく文科省の名を挙げ、市長、教育長の答弁を間違いだ、残念だと断じることで市長、教育長を侮辱し、また、文部科学省と相互の信頼関係及び沼津市に対する市民の信頼を傷つけてしまっているのです。

 また、こうした不正確な認識による山下議員の主張が、第一、第二地区や、その他の地区における今後の学校の適正配置に悪影響を与える恐れも十分にあるのです。

 これら一連の発言が、議会の権威と品位を汚しているのです。

 山下議員の一連の発言を認めるということは、市民の皆様への誤ったメッセージを沼津市議会から発信するということです。決して看過できるものではありません。

 憲法において保障されている言論の自由は、極めて大切なものであります。しかしながら、議会において無制限に、偏見による認識を語ってもよいのでしょうか。これは議会で、いくらでも嘘をついてもよいということにもつながってしまいます。さらには、議会において他者を中傷してよいはずもありません。

 一般質問の発言について議長から問題点の指摘があっても山下議員は問題点を受け入れることも発言を訂正することも、ついにありませんでした。

 懲罰がなく、そのままにしておくのだとしたら、市議会として問題をはらんだ表現を認めてしまうということになりかねません。

 このたび、なぜ一人の議員に対して懲罰を科すことを議論してきたのか。 たった一人の議員に対して、いわゆる多数派が数の力で抑圧したいからでしょうか。たった一人の議員に対して嫌がらせをしたいからでしょうか。たった一人の議員から言論の自由を奪いたいからでしょうか。そのいずれも違います。

 沼津市という公の発展を心から願い続ける者が、一人の人間を攻撃するため.に、ただ言葉尻を捉一えるだけで、議会や委員会のたくさんの時間、たくさんの労力を利用しようなどという考えを持つのでしょうか。

 繰り返しになりますが、個人攻撃のためではなく、あくまでも、この沼津市議会のために懲罰が必要です。

 以上、今回の山下議員の一般質問の内容は、地方自治法第132条「言論の品位」、沼津市議会会議規則第5章規律第152条「品位の尊重」で規定する沼津市議会の品位と権威を著しく汚すものであり、十分に懲罰に値するものであることを改めて申し上げつつ、山下富美子議員に対する懲罰の動議に対する賛成の討論といたします。

【沼朝令和31219日(日)号】

山下市議の懲罰動議発議 沼津市議会

山下市議の懲罰動議発議 沼津市議会

 沼津市議会は10日、本会議を開き、7日の一般質問で不適切な発言があったとして山下富美子氏(未来の風)に対する懲罰動議を市議22人が発議した。市議会は懲罰特別委員会を設置し、週明けにも審議する。

 梶泰久氏(市民クラブ)が動議に至ったことについて「市当局の答弁に対して無礼な発言をして、議会の権威と品位を汚した」と説明。具体的には第一と第二校区の統合問題への一般質問で、山下氏は答弁に立った奥村篤教育長に対し「教育長、それは大きな間違いですよ」などとした。

【静新令和31211日(土)朝刊】

 

 市議会が日程に追加

 懲罰動議提出を受け質疑

 市議会は10日、午前は日程通り常任委員会を開いた後、日程を追加して午後、本会議を開いて、山下富美子議員(未来の風)に対して出された懲罰動議を議案とした。

 動議は28議員のうち山下議員、同じ会派の江本浩二議員、それに正副議長、議会運営委員会の正副委員長を除く22議員から提出されたもので、懲罰動議を議題とした後、山下議員は退出。当局側は関係部局からだけ出席し、動議について梶泰久議員(市民クラブ)が、次のように説明した。

 「127日の一般質問において、山下議員の発言の一部が議会の権威と品位を著しく汚したと判断したため、会議規則第161条第1項の規定に基づき本動議を提案する。本件は本市重要課題である市内公立学校の学校規模、学校配置の適正化について、正当な答弁を行った当局の信用を大きく失墜させる無礼な言葉を用い、かつ自身の法の解釈で断定的な発言をしたことなどが本議会の権威と品位を著しく汚すものである。以上の経緯、及び理由から山下議員に対する懲罰を求める」

 これに対する質疑で江本議員が質問。 「『発言の一部が議会の権威と品位を著しく汚したと判断した』とされているが、具体的に、どの発言が、どのように著しく汚したと判断したのか。次に、全国町村議会議長会が出している『議員必携』では具体的に、どういう発言、どういう行為が品位を貶(おとし)めるのかということについては触れていない。この中には7つ具体的に、懲罰の事由となる事項を挙げている。7つの具体的な懲罰の事由となる事項のうち、今回のケースが、どれに当たるのか

 「提案理由に『当局の信用を大きく失墜させる無礼な言葉を用いた』とされているが、山下議員の発言の、どこの部分が、信用を大きく失墜させる無礼な言葉と捉えたのか」

 「提案理由の中に『自身の法の解釈で断定的な発言をした』と説明されているが、どこを指して法の解釈を断定的に発言されたのか。さらに、法の解釈を断定的に発言することが、どうして権威や品位を失墜させることに当たるのか」

 「『権威と品位を著しく汚すものである』、これは非常に観念的な表現で、受け取る者によって『軽微なこと、問題ない』と受け取る人もいれば、『著しく汚した』と思う人もいる。だからこそ、今回、(山下議員の)質問にあった学校教育法、地方教育行政法、さらには文部科学省が発行した『学校の規模適性会における手引』、その3点の解釈が誤っていたとするのかもしれないが、それを司る文部科学省の助言、または全国市議会議長会等に、今回の事案が懲罰に値するか等の助言等は頂いたのか。また、他の地域で同様の事由により懲罰が科せられた事例はあるのか。それについて皆さんが確認したのか、したのであれば、(そういう事例が)あったのかなかったのか」

 これに対して梶議員は次のように答えた。

 「1つ目の『発言の一部は具体的にどこか』という質問。それについては、山下議員が『教育長、それは大きな間違いですよ」と発言した部分」

 「2つ目、議員の規定の内容の中で7つの項目が挙げられているもののどれに当たるかということ。それについては例示されているものと、そうではないものということで考えている。この例示に一致している必要はないと。沼津市議会は(沼津市議会の)会議規則において、ということで動議を出したということ」

 「3点目、『無礼な発言とは、どこを指しているのか』については『教育長、それは大きな間違いですよ』の部分」

 「4点目、『断定的な発言は、どこを指しているのか」ということも同様に『教育長、それは大きな間違いですよ』の部分」

 「最後に5点目、文科省等の話があったが、最終的には『全国市議会議長会での助言は受けたのか、あるいは、他の事例は確認をしたのか』ということだが他の事例は確認していない」

 これに対して江本議員が2回目の質問。

 「『議員必携の具体的な施行に該当するものはない、拠って立つものは沼津市議会会議規則』だということだが、会議規則のどの部分に抵触し、懲罰に値すると考えたのか。また(山下議員の質問の仕方が)断定的だ(から問題だ)と捉えられたようだが、どの法の解釈について断定的であり、不適切だったのか具体的に、法令の名で伝えてほしい」

 梶議員の答弁。

 「1点目の会議規則のどこかということ、2点目の、どの法かということで、それぞれに答えたいが、一括して答える。具体的な内容については設置された(懲罰特別)委員会で、慎重に確認して審議していただきたいと思う」

 ここで江本議員が浅原和美議長に向かって、「本会議における審議において、それは委員会の中で答えるから(今は)答えない、ということが許されるものなのかどうか。とても疑問なので、これに関して精査してもらいたい」としたが、議長は「議長としては、今の質疑を聞いていて、総体的に、の中で答えると理解しているので、質疑を続けていただきたいと思う」として質問を促がした。

 そのため、江本議員は3回目の質問に移った。

 「全国の標準的な会議規則の運用方法、全国から色んな事例を集めて、それぞれの議会からの相談を受け付けている全国議長会、そのいずれにも、皆さんがやられた(調べた)根拠はなく、あるのは、沼津市議会会議規則にのっとったということ。これは重要なことではないのか。公的ルール、それにのっとってやったんだということを証明する、重要な理由だと思うのに、答えられないのはどういう理由か」

 これに対して梶議員が「内容については、委員会で審議していただくという形になるので」としたため、江本議員が重ねて発言を求めたが、浅原議長が質間は3回までだとして江本議員の質問を終えた。

 懲罰特別委員会は13日に開くことになり、委員には尾藤正弘(自民沼津)、久保田土口光()、加藤明子(志政会)、渡邉博夫()、霞恵介(市民クラブ)、長田吉信(公明党)、平野謙(虹の会)、江本浩二(未来の風)、川口三男(共産党市議団)、梅沢弘〔無所属)の各議員が選任された。

【沼朝令和31214日(火)号】

 山下議員への懲罰は「戒告」

 受け入れるかどうか相談

 市議会は13日午後、懲罰特別委員会(渡邉博夫委員長)を開き、山下富美子議員(未来の風)に対する懲罰動議について審査した。

 委員に選任されたのは、渡邉委員長(志政会)をはじめ、尾藤正弘(自民沼津)、久保田土口光()、加藤明子(志政会)、霞恵介(市民クラブ)、長田吉信(公明党)、平野謙(虹の会)、江本浩二(未来の風)、川口三男(共産党市議団)、梅沢弘(無所属)10人。

 同日朝、山下議員の支援者ら132人から同委員会の公開を求める要望書が浅原和美議長に提出されていた。同委員会は公開で行われ、市内外の約50入が傍聴した。

 開会冒頭、渡邉委員長は懲罰の動議について、提案理由は本会議で聴いているため省略する、と発言。

 江本委員は反対し、提案理由の説明を求めたが、江本委員以外の委員が賛成し、提案理由についての説明は行われなかった。

 委員による討議を前に、まず山下議員が弁明を行い、自身の発言について説明。

 また、植松恭一議員(虹の会)と議会事務局の藤井義昭副参事が出席し、文部科学省の担当者に確認した内容について発言した。2人は議長の指名を受けて9日、文科省に出向き担当者から話を聴いたと言う。

 担当者から聴いたものとして、藤井副参事は概略を、次のように説明した。

 教育委員会制度の趣旨、地方自治法、学校教育法、地方教育行政法(地教行法)などの関連条文についての説明を受けた上で、文科省に対して質問。

 「『学校教育法第2条』『公立小学校中学校の適正規模・適正配置等に関する手引』で規定する学校の設置者たる地方公共団体の示す範囲は」という質問に対しては、「地方公共団体の長は市長であり、議案の提出権、予算の執行権が職務権限とされている。地方公共団体には、行政機関、執行機関として教育委員会が設置されており、公立学校の設置、管理、廃止については、地教行法第21条の規定により教育委員会の職務権限」だという説明があった。

 「こうしたことを踏まえ、学校の設置者たる地方公共団体の長と、教育委員会が密接な関係で進めていくというスタンス」だと説明された。

 さらに、「地方自治法第224条の2に規定される、公の施設の設置、管理、及び廃止、こちらについては市長が議会に議案を出すため、その権限は市長にのみ属するのか」という点について確認したところ、「市長は、教育委員会において決定された事務事業に関し、市長の議案提出権により議会に議案を提出するという流れになるが、独立した執行機関である教育委員会の職務権限において地教行法第29条に基づく協議を行った上で、設置や廃止などの議案の提出、予算の執行を行うため、長の意思はここで反映されるもの」との答えがあった。

 この藤井副参事の説明を受けて討議に移り、委員長を除き1人ずつ発言。江本委員以外は山下議員への懲罰を科すべきだとした。

 また、「戒告」「陳謝」「出席停止」「除名」とある4種類の懲罰のうち、何を科すべきかについて、川口、久保田両委員は、軽い方から2番目の「陳謝」、他の委員は最も軽い「戒告」が相応であるとした。

 これに対して江本委員は、10日の本会議において懲罰の提案について質疑を行った際、答弁した梶泰久議員(市民クラブ)が「具体的な内容については、設置された(懲罰特別)委員会で、慎重に確認をして審議していただきたい」と発言したことにも触れ、提案理由の説明と、それに対する質疑を行うよう再三求めたが、行われなかったため、「懲罰委員として判断するのに必要な情報がない」として、賛否を保留した。

 この後、採決を行い、「戒告」処分とすることが決まった。

 戒告文については正副委員長により案が示され、議会事務局職員が読み上げた原文の通りとすることが決まった。戒告文は次の通り。

 「山下議員の発言の一部は、本市の重要課題である市立公立学校の学校規模・学校配置の適正化について、正当な答弁を行った当局の信用を大きく失墜せる無礼な言葉を用い、かつ、自身の法の解釈で断定的な発言をしたことなどは、沼津市議会の品位を汚すものである」

 閉会後、山下議員が囲み取材に応じ自身の考えを述べた。

 同議員は、まず文科省の見解については委員会で藤井副参事が述べた通りだとしながら、「学校が地域コミュニティの核だということを考えると、『まちづくり』をどうしていぐかという最終的な決断ができるのは市民の負託を受けた市長しかないと考える」とし、「教育委員会と市長が両輪となってこの間題に向き合ってもらいたい」と語った。

 また、「教育長、それは大きな間違いですよ」という発言が問題となっていることについては、「質問したことに対する答弁ではなかったので、それに対して発言したもの」だとした。

 また、「市民の小さな声を、どうやって議員が代弁し、議会に反映していくのか」に腐心していると議員としての姿勢を示し、「多数決が絶対であるという議会の構造が本当の民主主義だと言えるのか」との思いを述べた。

 この処分を受け入れるかどうかについては、「支援者の方々や弁護士と話して決断したい」と語った。

【沼朝2021年(令和3)1215()

山下議員に戒告の懲罰

 動議の指摘には「一身上の弁明」

 市議会定例会は17日、本会議を開き、まず山下富美子議員(未来の風)に対する懲罰動議について諮り、山下議員が「一身上の弁明」を行った後、山下議員が退席する中で討論に移り、小澤隆議員(志政会)が懲罰に賛成する立場から発言したのに続いて起立採決。賛成多数で懲罰が決まった。

 これを受けて山下議員が議場に戻り、自席に着いた後、浅原和美議長から「戒告」処分とすることが告げられた。

 この問題は、7日に行われた山下議員の発言に不適切な個所があり議会の権威や品位を汚したなどとして懲罰特別委員会が設けられ、懲罰動議について審査。委員会での可決を経て、本会議に諮られたもの。

 「山下発言」は、第一・第二校区の学校統合問題にかかわり、学校設置権者についてただした。懲罰動議提出側からは、誤った法解釈を押し付け、市長や教育長の名誉を傷付けたなどとして非難された。

 山下議員は「一身上の弁明」で5点にわたって反論。質問までの経緯なども示しながら、懲罰には当たらないことを主張した。

 一方、懲罰賛成討論を行った小澤議員は、山下議員の法解釈には誤りがあるとして、自身の法解釈を展開するなどして「山下発言」は懲罰に値するものだと述べた。

 なお、この「山下発言」について、議長から取り消しが告げられた。

 山下議員の「一身上の弁明」、小澤議員の懲罰賛成討論についての詳細は次号に掲載する。

【沼朝令和31218日(土)号】

【沼朝令和31218日(土)号】

 山下氏の懲罰可決 沼津市議会閉会

 沼津市議会11月定例会は17日、最終本会議を開き、山下富美子氏(未来の風)を戒告とする懲罰動議を起立採決し、賛成多数で可決した。一般質問での発言が不適切とされ、懲罰特別委員会は戒告が妥当としていた。

 このほか、本年度一般会計補正予算などを原案通り可決して閉会した。

【静新令和31218日(土)朝刊】

高峯副市長を懲戒処分

高峯副市長を懲戒処分

 市民への不適切な言動が問題に

 第一校区・第二校区の学校統合問題にかかわり、統合方針の撤回と、学校規模・配置の適正化について再協議を求めていた第二校区関係者に対して大声を上げるなど副市長として不適切な言動があった、として頼重秀一市長は15日、高峯聡一郎副市長を懲戒処分した。懲戒の内容は、けん責。

 処分理由となった高峯副市長の言動は、まず826日。統合問題について第二地区コミュニティ推進委員会の望月照五会長と共に市役所秘書室を訪れた第二中学校区未就学児保護者代表の水田真道氏に対して大声を上げたこと。

 次いで同月30日、その謝罪のために水田氏宅を訪れた際、菓子折りを持参したこと。

 さらに929日、奥村篤教育長との面談のため、望月会長らと市役所の教育長室を訪れた水田氏の腕をつかむなどして入室を阻害したこと。

 このうち、水田氏宅を訪れた際に公用車を使用したことについて、高峯市長も含む人件費、燃料代などを市に返還するよう措置請求(住民監査請求)が出され、受理されたが、監査委員に却下されている。

 今回、懲戒処分の理由となった高峯副市長の言動に関しては、市人事課が、望月会長や水田氏ら第二コミ側関係者、当局側関係者に事情を聴いていた。

 その結果、市長名で出された結論は、被処分者(高峯副市長)が市民に対して「大声を上げる」「身体を掴む」「面談参加を遅らせる」などの不適切な行為を行ったことを認定。

 また、通常では職員が行わない、協議の相手方に菓子折りを持参するという行為により、市民に誤解と不信感を抱かせることとなった、と指摘。

 これらの行為は地方自治法施行規程の該当条項に規定された「職務の内外を問わず公務上の信用を失うべき行為」であると判断し、けん責処分が下された。 929日の入室阻害の際、水田氏側は「タックルされた」と主張しているが、人事課は「そのことは認定できなかった」としている。

 地方公共団体において副市長は特別職に当たるが、人事課によれば、沼津市において特別職に対する懲戒処分は、分かる範囲では前例がないと言う。

 また、一般職員の懲戒については地方公務員法により行われるのに対して、特別職は地方自治法に基づき、「譴(けん)責」「500円以下の過怠金」「免職」のいずれかの処分が科せられる。

 高峯副市長は、1125日から「体調不良」を理由に在宅勤務となっていて、けん責は市長によりリモートで、画面上で行われた。また、同副市長からは今回の処分以前に退職願いが出されて受理されており、今月31日をもって退職する。

 今回の処分について、頼重市長は次のようにコメントした。

 この度、本市副市長高峯聡一郎が市民に対して行った一連の行為に対し、地方自治法施行規程に基づく懲戒処分である「譴責」といたしました。

 副市長は、市長の最高補助機関として極めて枢要な地位に在る者であり、職員に対し範を示すべき立場にあります。

 このような立場にある副市長が市民に対し「大声を出す」などの不適切な行為を行ったことについて、被害を受けられた方に対し深くお詫び申し上げます。 また、行政に対する市民の皆様の信頼を大きく損ねることになってしまったことに対しまして、重ねてお詫び申し上げます。

 今後は、職員の綱紀の保持・粛正をさらに徹底し、市民の皆様からの信頼回復に取り組んでまいります。

 一方、高峯副市長に不適切な言動で対応された水田氏は、今回の処分について、次のように述べている。

 高峯聡一郎副市長への譴責処分が重いのか軽いのか、あるいは妥当なのかについて感想を述べる立場にはないが、やっと処分が出たのかとの思いでいる。

 しかし、この件での頼重秀一市長が自身の責任について、どのように考えているのか不明だが、その責任は重いと考えている。

 なぜなら、私が高峯副市長から罵声を谷びせられる等の侮辱を受けたのは826日。頼重市長が同.30日、高峯副市長に、公務として、市職員の運転する公用車で謝罪に出向くように命じたことが公文書(沼企生第188)で明らかになっている。

 しかし、その報告を聞いていなかったということか。

 また、929日付の第二地区コミュニティ推進委員会会長名での高峯副市長への公開質問状によって、高峯副市長が私宅を訪れた際、菓子折りを届けたが、謝罪をしていないということを頼重市長は知ったはずだが、放置したままだった。

 その上、929日に奥村教育長を訪れた私に対して、高峯副市長が胸を押したり、腕をつかんだり、タックルをしたりの暴行行為に及んだことを、少なくとも1022日付の高峯副市長への公開質問状で頼重市長は知ったはずだが、これも放置したままになっている。

 いずれも無責任だと言わざるをえない。

 さらに言えば、高峯副市長は私に対して直接、未だに謝罪していない。高峯氏を副市長に任命した頼重市長が、高峯副市長の私への行為を3カ月半もの間、放置し続けたことの責任は重いと考えている。

【沼朝令和31217日(金)号】

沼津市校区統合、教育長答弁「 まず地元が意見集約を」

 まず地元が意見集約を

 沼津市校区統合、教育長答弁

 沼津市の奥村篤教育長は7日の市議会11月定例会で、白紙撤回した第一と第二校区の統合問題の今後について、「まずは保護者を交えて地域でしっかりと議論を尽くし、意見を集約していただきたい」と、統合に反対した第二校区の方針がまとまってから検討する考えを示した。梶泰久氏(市民クラブ)の一般質問に答えた。

 奥村氏は撤回後の10月下旬から6回にわたり、保護者懇談会を開いたことを明らかにした。小規模校のメリットから現状維持に賛同する意見はあったとしたが、「多くの人から統合後の学校に期待していたとか、これまでの進め方は民主的で、統合を進めてほしかったなど落胆する意見が出た」と第二校区内でさまざまな意見があると述べた。

 両校区統合はいったんは合意に至ったが、第二の住民から根強い反対論や慎重論が噴出。第一の住民から「第二のみで議論していた状況に戻してほしい」との申し出があり、市教委が10月に撤回を決めた。

 一般質問はこのほか、霞恵介(市民クラブ)、渡部一二実()、川口三男(共産党)、山下富美子(未来の風)、江本浩二()、梅沢弘(無所属)の各氏も行った。(東部総局・高橋和之)

【静新令和3128日〈水〉朝刊】

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