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深良用水・芦ノ湖から水引き一帯潤す
農水省の疎水百選に入った深良用水。一六六六年、深良村の名主大庭源之丞が干ばつに苦しむ農民を救おうと、元締の友野与右衛門の協力を得て、箱根外輪山に千二百八十?の隧(ずい)道を掘り抜き、芦ノ湖から水を引くことに成功した。
芦ノ湖と深良村の両側からツルハシやタガネで掘り進め、約三年半で貫通。芦ノ湖の水は裾野一帯を潤し新田開発が進んだ。今も深良で黄瀬川に流入し駿東地区の農業、生活、防災用水や水力発電に利用されている。
恩恵に感謝し、当時は箱根神社に米五百俵を納めた風習は今でも年二回の講社祭での初穂料(金銭)の奉納として続く。現在、県芦ノ湖水利組合の水配長として水を管理する志村利男さんは「考える人もよく考えたし掘る人もよく掘った」
と祖先の偉業に敬服する。(静新4月8日「ふるさと探訪」)