アサヒコムマイタウンニュースより(10月20日号)

現職推薦・自民に亀裂/三島市長選

2006年10月20日

 11月12日告示の三島市長選を巡り、自民党が揺れている。現職で3選を目指す小池政臣市長(66)を党三島市支部が推薦したものの、自民県議の豊岡武士氏(63)も立候補を表明していたため、党県連は小池氏の推薦を見送った。豊岡氏は「これで自主投票だ」とする一方、小池氏を支持する支部役員は「支部の推薦は機関決定。『自主投票だ』と吹聴されては困る」。両氏は小池氏が初当選した8年前の市長選でも激突。告示まで1カ月を切り、対決色は強まっている。(佐藤清孝)

 両氏は今年3月、相次いで支部に推薦を依頼したため、総務会はもめた。

 小池氏は自民党籍がない。前回の市長選で、党支部と県連の推薦を受けて無投票で再選される前、「党員のまま無所属で出るのはおかしい」と離党していたからだ。「現職の自民県議が出るのに、党籍がない人を推薦するのは筋が通らない」。豊岡氏支持の役員らから批判の声が上がった。

 五役会と総務会を計5回開いて協議した末、小池市長と政策協定を結び、4月17日に正式に推薦を決定。間もなく党県連に推薦を依頼した。

 「実績を基に判断するしかなかった」。小池氏を支援する市議の宮沢正美幹事長はこう説明する。

 一方、春先に支部から小池氏の推薦依頼を受けた県連は当面、扱いを「保留」にしたままだったが、今月12日の役員会で推薦見送りを決めた。

 関係者によると、小池氏が前回の市長選で推薦を受けながら離党していることや、豊岡氏が県連政調会副会長などを歴任したことを考慮した結果とみられる。「支部の意向はできるだけ尊重するのが原則。今回の決定は異例」と関係者は話す。自民系の2人の候補の扱いに頭を痛めた結果、県連としては「タッチしない」という方向で落ち着いたようだ。

 豊岡氏は「県連が推薦しないなら本当の推薦ではない。党員には手紙を出して理解を得たい」と言う。支部執行部に「党員が自分を支持したら処分をするのか」とただしたところ、「処分はしない」という回答を得たという。

 しかし、支部執行部の見解は大きく異なる。石井孝一支部長は「小池さんの推薦は豊岡さんも納得ずくで支部の総意。今さら『自主投票』と言われるのは心外だ」と話す。

 小池氏は自民県議を経て96年の衆院静岡7区に無所属で立候補し、落選した。陣営の選挙違反事件で拡大連座制が適用され、同選挙区からの立候補が5年間禁止されている中で、98年、市長選に転じた。

 この選挙には、元市企画調整部長の豊岡氏と自民県議も立ち、この時も自民党が割れた。小池氏は党支部から単独推薦を受け、激戦を制して初当選した。

 一方、豊岡氏は99年の県議選で初当選し、現在2期目。市長選で雪辱の機会をうかがい、前回も立候補の動きを見せた。が、「県議1期目だったので、責任を果たすべきだとの後援会の声もあり、見送った」という。

 支部の党員は約500人。8年前の「遺恨試合」を引きずりながら、今回は両氏の一騎打ちになる公算が大きくなっている。