離礁に成功、清水港へ

 牛臥海岸沖で座礁の大型運搬船
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 台風四号接近に伴う暴風と大波で牛臥海岸沖に座礁した冷凍運搬船「二拾四號大盛丸」の引き出し作業が二十三日早朝、多くの市民が見守る中で行われた。

 午前五時十五分、運搬船の船首右側にワイヤーを掛けた三隻のタグボート(五、○○○馬力、四、○○○馬力、三、六〇〇馬力)が、南側に向けてけん引を開始すると、運搬船は後ろの座礁部分を軸に徐々に右旋回。

 船首を東から南に向けた座礁船は作業

開始から三十分程経過した同四十三分、満潮の六時五十一分を迎える前に座礁地点からの脱出に成功、タグボートの増援とけん引方向変更が決め手となったようだ。

 運搬船を軽くして浮き上がらせる対策として考えられた、積荷を下ろしたり燃料を抜いたりすることもなかったが、船のバランスを取るためのバラスト水を一部排水したという。

 離礁後しばらく沖合いで、航行に問題はないか安全を確認した運搬船は六時四十二分、タグボート一隻に付き添われ清水港へ出発した。同港では到着後、潜水士による船底やスクリューなどの点検を受け、また海上保安部が事故原因などの聴き取り調査を行う予定。

 今回の作業に当たったタグボート三隻は、一回目のけん引を行った清水港からの二隻に代わり東京から来た。一回目のけん引で船尾方向へ引いた理由についてサルベージ会社の社員は、急きょ作業に当たることになったタグボートが長いけん引用ワイヤーを持たず、水深が浅い船首南側に接近できなかったためだと説明した。

 清水海上保安部職員は、これから台風シーズンを迎え、座礁したままだと船が倒れる可能性もあったことから無事に脱出できたことに安堵の表情を見せた。また船主も、脱出成功に感謝していた。

 三日連続、この日も午前五時五分から双眼鏡を手に牛臥海岸の防潮堤で見守った内村睦さん(沼北町)は、「船が離れてほしいような、ほしくないような複雑な心境だが、燃料が漏れてないようなのでホッとしている。きょう脱出できなければ次の大潮まで作業ができない、と前日聞いたので、良かった」と話した。

(沼朝平成24624日号)

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