高峯副市長を懲戒処分
市民への不適切な言動が問題に
第一校区・第二校区の学校統合問題にかかわり、統合方針の撤回と、学校規模・配置の適正化について再協議を求めていた第二校区関係者に対して大声を上げるなど副市長として不適切な言動があった、として頼重秀一市長は15日、高峯聡一郎副市長を懲戒処分した。懲戒の内容は、けん責。
処分理由となった高峯副市長の言動は、まず8月26日。統合問題について第二地区コミュニティ推進委員会の望月照五会長と共に市役所秘書室を訪れた第二中学校区未就学児保護者代表の水田真道氏に対して大声を上げたこと。
次いで同月30日、その謝罪のために水田氏宅を訪れた際、菓子折りを持参したこと。
さらに9月29日、奥村篤教育長との面談のため、望月会長らと市役所の教育長室を訪れた水田氏の腕をつかむなどして入室を阻害したこと。
このうち、水田氏宅を訪れた際に公用車を使用したことについて、高峯市長も含む人件費、燃料代などを市に返還するよう措置請求(住民監査請求)が出され、受理されたが、監査委員に却下されている。
今回、懲戒処分の理由となった高峯副市長の言動に関しては、市人事課が、望月会長や水田氏ら第二コミ側関係者、当局側関係者に事情を聴いていた。
その結果、市長名で出された結論は、被処分者(高峯副市長)が市民に対して「大声を上げる」「身体を掴む」「面談参加を遅らせる」などの不適切な行為を行ったことを認定。
また、通常では職員が行わない、協議の相手方に菓子折りを持参するという行為により、市民に誤解と不信感を抱かせることとなった、と指摘。
これらの行為は地方自治法施行規程の該当条項に規定された「職務の内外を問わず公務上の信用を失うべき行為」であると判断し、けん責処分が下された。 9月29日の入室阻害の際、水田氏側は「タックルされた」と主張しているが、人事課は「そのことは認定できなかった」としている。
地方公共団体において副市長は特別職に当たるが、人事課によれば、沼津市において特別職に対する懲戒処分は、分かる範囲では前例がないと言う。
また、一般職員の懲戒については地方公務員法により行われるのに対して、特別職は地方自治法に基づき、「譴(けん)責」「500円以下の過怠金」「免職」のいずれかの処分が科せられる。
高峯副市長は、11月25日から「体調不良」を理由に在宅勤務となっていて、けん責は市長によりリモートで、画面上で行われた。また、同副市長からは今回の処分以前に退職願いが出されて受理されており、今月31日をもって退職する。
今回の処分について、頼重市長は次のようにコメントした。
この度、本市副市長高峯聡一郎が市民に対して行った一連の行為に対し、地方自治法施行規程に基づく懲戒処分である「譴責」といたしました。
副市長は、市長の最高補助機関として極めて枢要な地位に在る者であり、職員に対し範を示すべき立場にあります。
このような立場にある副市長が市民に対し「大声を出す」などの不適切な行為を行ったことについて、被害を受けられた方に対し深くお詫び申し上げます。 また、行政に対する市民の皆様の信頼を大きく損ねることになってしまったことに対しまして、重ねてお詫び申し上げます。
今後は、職員の綱紀の保持・粛正をさらに徹底し、市民の皆様からの信頼回復に取り組んでまいります。
一方、高峯副市長に不適切な言動で対応された水田氏は、今回の処分について、次のように述べている。
高峯聡一郎副市長への譴責処分が重いのか軽いのか、あるいは妥当なのかについて感想を述べる立場にはないが、やっと処分が出たのかとの思いでいる。
しかし、この件での頼重秀一市長が自身の責任について、どのように考えているのか不明だが、その責任は重いと考えている。
なぜなら、私が高峯副市長から罵声を谷びせられる等の侮辱を受けたのは8月26日。頼重市長が同.月30日、高峯副市長に、公務として、市職員の運転する公用車で謝罪に出向くように命じたことが公文書(沼企生第188号)で明らかになっている。
しかし、その報告を聞いていなかったということか。
また、9月29日付の第二地区コミュニティ推進委員会会長名での高峯副市長への公開質問状によって、高峯副市長が私宅を訪れた際、菓子折りを届けたが、謝罪をしていないということを頼重市長は知ったはずだが、放置したままだった。
その上、9月29日に奥村教育長を訪れた私に対して、高峯副市長が胸を押したり、腕をつかんだり、タックルをしたりの暴行行為に及んだことを、少なくとも10月22日付の高峯副市長への公開質問状で頼重市長は知ったはずだが、これも放置したままになっている。
いずれも無責任だと言わざるをえない。
さらに言えば、高峯副市長は私に対して直接、未だに謝罪していない。高峯氏を副市長に任命した頼重市長が、高峯副市長の私への行為を3カ月半もの間、放置し続けたことの責任は重いと考えている。
【沼朝令和3年12月17日(金)号】