物理化学者故長倉氏の意志継ぎ
母校沼津東高に遺産寄付
書籍や論文 図書館で特設展示
物理化学者で日本学士院長を務めた故長倉三郎氏(1920~2020年)の遺族が30日、長倉氏の母校である沼津市の沼津東高を訪れ、遺産の一部の2千万円を寄付した。資料やアルバムなども寄贈し、同校は図書館に特設コーナーを設置するという。
同校で贈呈式が行われ、おいの西島健介さん(69)と相続人代表の長倉正彦さん(73)の親族2人が出席した。寄付金の目録とともに、長倉氏が同校で講演した際のメモや中高生代のアルバム、籍、論文などの資料を手渡した。
今回の寄付と寄贈は長倉氏の遺志に基づくという。西島さんは「(長倉氏は)中高時代に進路を決め、研究の礎を築いた。若い人に業績を伝えられたら」と話した。同校の卒業生でつくる香陵同窓会の小野毅会長は、校内にある長倉氏の石碑について触れながら、「大変な宝をいただいた。碑に刻まれた『二十一世紀は若人の知的創造に期待する時代』を体現する人材の輩出につなげたい」と述べた。
同校は今後、同窓会PTAなどを交えて付金の使い道を検討するとしている。
(東部総局・菊地真生)