信じられない
瀬川裕市郎さんが他界されたことが、まだ信じられません。
瀬川さんとのお付き合いが始まってから七年になります。
市立図書館で開かれた明治史料館の企画展「御成橋命名百周年記念時を駆けた橋」のポスターに使われた写真の一枚は、幼稚園児だった自分が亡き父と、屋根を切り取ったマツダ・クーペで御成橋を渡るところを写したものでした。誰が撮影したかも不明の写真ですが、瀬川さんが学芸員を務められた市歴史民俗資料館所蔵のものです。
この写真が収められた瀬川さん監修の『沼津今昔百景』(平成十四年、羽衣出版刊)は、わたしに郷土史研究に打ち込む心と魂を吹き込んでくれた名写真集です。
企画展の後、瀬川さんからの依頼で、NPO法人海風47主催の講演を受け持ったり、高尾山古墳保存の街頭署名活動に参加させていただいたりしましたが、十分なお手伝いもできなかったことを瀬川さんの御霊に対してお詫び申し上げます。
この数年間、わたしの患者さんとしても接して参りましたが、いつも手には、文芸関係から理化学関係にいたるまで多分野の本を持たれ、それを手放した姿は一度もない読書家でした。
昨年の暮れ、最後に診察した際、「防災訓練で階段を上ったら苦しくなった」とのことで、心配していました。
「ボクは沼津が好きだ。大好きだ」
前記書籍の巻頭言です。「瀬川さんのこの言葉が、郷土への情熱を呼び覚ましてくれました」と瀬川さんに伝えた時、恥ずかしそうに微笑まれた優しいお顔が瞼に浮かびます。
瀬川さん、有難うございました。
(郷土史家、市場町)
【沼朝令和2年1月30日(木)「言いたいほうだい」】
新幹線放火2死亡 小田原で緊急停止
30日午前11時40分ごろ、神奈川県小田原市で、新横浜ー小田原間を走行中の東海道新幹線「のぞみ225号」の車内で火災が発生し、緊急停止した。県警によると、先頭車両で男が油のような液体をポリタンクからかぶり、ライターで火を付けた。焼身自殺を図ったとみられ、男と女性が死亡した。小田原市消防本部によると、1~65歳の26人が気道熱傷や一酸化炭素(CO)中毒などで重軽傷を負った。県警は現住建造物等放火容疑で捜査している。
捜査関係者によると、死亡した女性は横浜市青葉区荏田町、整体師桑原佳子さん(52)で、男は東京都杉並区西荻北、職業不詳林崎春生容疑者(71)。新幹線車囚で起きた事件や事故としては、過去最悪の被害となった。
JR東海によると、火災で上下計43本が運休し、106本が最大4時間半遅れ、約9万4千入に影響した。
JR東海や国土交通省などによると、火災は先頭の1号車で発生。運転士が1号車前方で油まみれになっている林崎容疑者を発見、消火活動した。桑原さんは1号車と2号車の間付近に倒れていた。目立った外傷はなく、煙を吸い込んだとみられる。1~3号車の乗客は後ろの車両に避難した。
県警によると、林崎容疑者は火を付ける直前に1号車最前列にいた60代の女性の乗客に「拾ったからあげる」と千円札を数枚差し出し、女性が「いらない」と話すと、液体をかぶった。「やめなさい」と言う女性に、林崎容疑者は「あなたも逃げなさい」と答えた。女性が逃げながら途中で振り向くと、林崎容疑者が燃えていたという。
=27面
仁王立ち、自らに「油」
新幹線放火 鼻つく異臭、広がる炎
1号車最前方のデッキに通じる自動扉の前に仁王立ちした男が突然、手にしたポリタンクから自分の体に油のような液体をかけた。「火をつけやがった」。鼻をつく異様な臭いが広がると同時に、誰かが叫ぶ。天井や壁がオレンジ色に燃え上がり、乗客は押し合うように後ろの車両へと逃げ出した。
30日の東海道新幹線の火災は、2人が死亡、20人以上が負傷する大きな被害をもたらした。乗客の証言から再現した。
東京駅を午前11時に出発したのぞみ225号の1号車に男が姿を見せたのは、11時20分ごろに新横浜駅を出た後だった。
「拾ったからあげる」。1号車最前列に座っていた60代女性に、男が千円札を数枚差し出した。断られると通路をうろつき始めた。「たばこをどうだ」。そう声を掛けられた乗客がいらないと応じると、男は言った。「危ないから出て行け」
6列目にいた男性(58)は、その不審な動きを目で追っていた。「後ろから歩いてきて、先頭のデッキで折り返し、空席があるのに通り過ぎた。1~2分後にまた戻ってきて、デッキの中に入っていった」
自動扉が開いたとき、男は右肩に白いポリタンクを担いでいた。通路の真ん中に立ったまま、右肩からピンク色の液体をかけた。「焼身自殺だ」。男性は直感した。
千円札を差し出された女性は「やめなさい」と諭したが、男は「あなたも逃げなさい」と返しただけだった。
男の足元から床に広がる液体は、きつい臭いを発していた。「ガガソリンだ」「灯油だ」「逃げろ」。男が火を付けたのは午前11時40分ごろ。弁当を広げたり、パソコンでメールチェックをしたりしていた乗客は一斉に席を立つと、後方車両に向けて逃げ出した。1号車にいた男性会社員(43)は「煙と熱が一気にやってきた」と振り返る。2号車に駆け込んだが、煙は容赦なく入ってきた。「避けようとして猫背になって進んだ。押し合いへし合いになってなかなか前に進まず、もう駄目かなと思った」
正午すぎに現場に到着した消防隊員は、通路にあおむけで倒れている男を確認した。その周囲が特に焦げていたという。「見た瞬間、搬送する必要がない状態だとすぐに分かった」。神奈川県警によると、近くにはリュックサックが置いてあり、中にはたばこ、歯ブラシ、ティッシュペーパーなどが入っていた。
火災車両三島車両所へ
30日午前、神奈川県内を走行中に火災が起きたJR東海道新幹線下り「のぞみ225号」は、約800人の乗客を小田原駅で降ろし同日午後5時15分ごろ、低速走行で三島駅に姿を見せた。
16両編成の車両は三島駅に止まらずに通過し、駅西側の線路上で10分ほど停止した。先頭車両は外観だけでは火災が発生したことが分からない状態。その後、再び徐行を始め、同50分すぎに車両すべてが三島車両所に入った。JR東海静岡支社によると、車両所内では神奈川県警小田原署と小田原市消防本部による現場検証が行われたという。
【静新平成27年7月1日(水)朝刊】
「奇跡だ」荒れた海 3週間生き抜いた? 漂流の犬を保護
海上を漂流中に救助され、塩釜港に到着した犬=2日午後5時すぎ
宮城県気仙沼市本吉町末ノ埼の沖合約2キロの海上で1日午後2時ごろ、漂流する屋根の上に犬がいるのを、第3管区海上保安本部(横浜)所属の特殊救難隊が見つけ、保護した。犬は2日午後5時半ごろ、宮城県動物愛護センター(富谷町)に引き渡された。震災の大津波で海に流されたとすると、過酷な環境を3週間、生き延びたことになり生命力に専門家も驚いている。
2管本部(塩釜)によると、行方不明者を捜索中の救難隊ヘリコプターが、犬を発見。潜水士が降下し、漂うがれきの上を逃げ回る犬を助けた。
犬は体長約70センチの雑種のメスで、毛は茶色。黒っぽい首輪を付けていたが、飼い主の住所などは書かれていない。2日午後、保護した巡視船「つがる」から2管本部の巡視艇に移され、夕方に塩釜港に着いた。巡視船ではビスケットやソーセージを食べ、おとなしくしていたという。
陸に上がると安心したのか、毛布にくるまれたままお漏らしも。迎えに来た県動物愛護センターの伊藤光市さん(52)は「ちょっとおどおどしていたが、思ったより元気で安心した。早く飼い主に返したい」と語った。
宮城県獣医師会の高橋勝一事務局長は「一般論だが、水さえあれば人間の倍近い約2週間は生き延びられる。生命力が強い雑種だったこともあるが、過酷な環境を3週間も生き抜いたとすれば奇跡だ」と話す。
仙台市出身の獣医師で「野宿に生きる、人と動物」の著者中野真樹子さん(東京都)は「海水は塩分が強過ぎ、人間以上に犬には向かない。降り積もった雪を食べ水分を補給していたのでは」と推測する。
2管本部には「自分の飼い犬かもしれない」という問い合わせが2件寄せられているという。
2011年04月03日日曜日
(読売webニュース)
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