政治

山下富美子議員の弁明 小澤隆議員の懲罰賛成討論(沼朝12月19日記事)

山下富美子議員の弁明

5点にわたり懲罰動議に反論

 市議会定例会は、最終日の17日、付託案件に対する委員長報告、それを受けての質疑、討論、採決に先立ち、山下富美子議員(未来の風)への懲罰動議について取り上げた。

 これは山下議員が7日に行った一般質問において不適切な発言があり、議会の権威、品位を傷付けたなどとするもので、動議への討論を前に山下議員が「一身上の弁明」。この後、山下議員が議場を退出し、小澤隆議員(志政会)が懲罰賛成の立場から発言した。

 山下議員の弁明と小澤議員の発言は次のようなもので、必要に応じて注釈や補足を加えた。(はじめに山下議員の弁明。小澤議員の発言については2)

 まず、お断りして.おきたいのは、私は懲罰動議が出される前に、私の一般質問に対する削除は求められておりません。7日の一般質問の後、私の発言について、いくつかの指摘が教育委員会から出されましたが、懲罰における私の一般質問が不適切とは、これまで一度も指摘されず、また文科省に行った報告からも、その指摘がされたとはうかがっていません。

 今後、万が一にも発言者の許可なく一般質問の会議録を削除することがあるとするなら、市民の知る権利を冒涜(ぽうとく)するものです。議長には発言取り消し命令権があり、これが行使されると私に発言取り消しの意思があろうがなかろうが会議録から削除されてしまいます。

 しかし、このような強権を発することがあっていいのでしょうか。かつて沼津市議会の歴史上あったのでしょうか。市民の知る権利を踏みにじる行為としか言いようがありません。

 もしも、そうしたことがあるのなら、どういった権限や根拠に基づいて削除するのか、市民に納得のいくように示していただきたいと思います。

 今回、懲罰動議の発議者から指摘されています、議会の権威と品位を著しく汚したという「教育長、それは大きな間違いですよ」といった発言について、懲罰特別委員の方々が誤解していると思われるので、説明いたします。

 私が「学校の設置者は誰ですか。それは、地方公共団体であって、教育委員会ではありません。学校教育法第2条、学校は地方公共団体が設置、この場合、地方公共団体を代表するのは誰ですか、市長ですか、それとも教育委員会ですか」という質問をしたところ、教育長は「執行機関は教育委員会である」と答弁しました。

 教育長は私の質問に答えず、はぐらかした答弁をしたので、「教育長、それは大きな間違いですよ」と言いました。

 教育長は、私の質問に答えていただけていない。このことへの間違いの指摘が、なぜ議会の権威と品位を著しく汚したと言えるのか、そして懲罰に値するのかわかりません。

 教育長の「執行機関は教育委員会である」という答弁の文言は、まったくその通りです。

 しかし、委員の方々は、私が、教育長が私の質問に答えていないことを「間違っている」と指摘をしたことを、最後まで誤解したまま懲罰の審議をしていたのではないか、と申し上げておきます。

 さらに、議長の命を受けて議会事務局が文科省に確認に行った際に示された見解と私の考えは、何ら変わることはないと思っています。

 まず、懲罰特別委員会の参考人であった議会事務局副参事によると、「地教行法(注・地方教育行政の組織及び運営に関する法律)21条におきましては、教育委員会の所管に属する第30条に規定する学校その他の教育機関の設置、管理、廃止に関することなどを教育委員会の職務権限として規定している」と説明されました。

 しかし、地教行法第21条の冒頭には、「教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務で、次に掲げるものを管理し、及び執行する」との前提が示されています。が、説明では、そこが省略されていました。

 加えて、副参事の説明によると、「学校教育法第2条、公立小中学校の適正規模・適正配置等に関する手引で規定する学校の設置者たる地方公共団体の示す範囲はという質問に対し、文部科学省からは、地方公共団体の長は市長」であること、そして、「地方公共団体には、行政機関、執行機関として教育委員会」があること、その上で、「学校の設置者たる地方公共団体の長と教育委員会が密接な関係で進めていくというスタンスであるという説明がございました」と述べています。

 つまり、私が質問した「学校は地方公共団体が設置、この場合、地方公共団体を代表するのは誰ですか、市長ですか、それとも教育委員会ですか」に対する答えは「市長です」と答えて下されば良かったのです。

 以上が私の弁明の大きな一点目。

 二点目。懲罰になった事由について、地方自治法第132条には「普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる議論をしてはならない」、第134条には「普通地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科すことができる」

 唯一、「議員必携」に懲罰の事由となる事項が7つ挙げられていますが、そのうちのどれに当たるのかについては、(懲罰特別委員会において)再三にわたる江本(浩二)委員の質問に、他の委員からの答えはありませんでした。

 (懲罰動議)発議者の提案である、私の言動が議会の権威と品位を著しく汚したと判断された点について、何が議会の權威を汚し、と品位を著しく汚しと判断された点について、何が議会の権威を汚し、何が品位を汚したのかについて、具体的に審議はされませんでした。

 ある委員から、私が市長や教育長を誹謗中傷し、侮辱するような発言を繰り返したとの指摘がありましたが、その誹謗中傷について具体的に指摘されたのは、教育長の答弁に対する「教育長、それは大きな間違いですよ」という発言と、市長の答弁に対する「大変残念な答弁です」という2点の発言であり、それが、市長や教育長を誹謗中傷し、侮辱する発言を繰り返したというものでした。

 また、他にも私の断定的な言動は無礼であり、侮辱することにもつながる、との指摘がありました。

 しかし、個人の見解を述べること、断定すること、私のこれらの言動が、不当かどうか、法的に誤っているかどうか、その指摘もなかった思いますが、もっと深く議論されるべき問題であったと思います。

 三点目。私が、これまで幾度となく発言の誤りで発言文章の削除と謝罪が議会運営委員会で行われてきたこと、私の発言、議場等での行動、行為について発言の重さや議員が守るべき品位を軽んじているとの指摘がありました。

 また、当選してから複数回にわたり問題の発言があり、発言を削除してきたことは、私の反省が生かされていないとありました。

 このような意見に基づく審議は、今回の懲罰に対する議論の範囲を逸脱しています。

 四点目。先ほど冒頭でも説明しましたが、ある委員が、私の一般質問が終了した後、二度にわたる議長、副議長からの丁寧な説明と文書削除の要請に応じなかったと指摘されていますが、何を指しているのでしょうか。少なくとも私は、「私の発言が、もし間違っているなら、削除に応じます」と言い、「そういうことだね」と念押しもされました。

 また、文科省へ確認に行くと言っていましたので、「私の発言文を持って行ってください」とお願いもしています。私は、どこを削除すべきかどうかについて今もって指摘を受けておりません。

 五点目。最後に(7日の一般質問における)私の「文部科学省に確認をした」という発言が、文科省の誰に対してなのか確認もできない危ういものだったという、ある委員の発言は明確に間違っております。(私は)副議長及び議会事務局に対して、私が直接話した文科省の職員について、その部署、名前について、はっきりとお答えしています。

 最後に、今回の私の言動が、議会の権威と品位を著しく汚し、懲罰に値するのかどうか、もっと議論が必要だったのではないでしょうか。こうした曖昧過ぎる基準で懲罰を科すことは、沼津市民の負託を受け、選挙によって選ばれた議員の言動に委縮効果を及ぼすことになります。

 議会が言論の府であるためには、言論の自由が保障されなければなりません。言論の自由は、民主主義の基本です。 持論を述べることを制限することは、議員の自由な議論に大きな影響を及ぼす危険をはらんでいます。議会は、多様な意見を反映する場として、言論の自由が保障されなければならないと考えます。 私は、市民の、たとえ一人の声だとしても、それが正しいと思えば、その声を市政に届け、当局に改善を求めてきました。私は市民の声なき声に耳を傾け、真摯に取り組む議員でありたいと活動してきました。

 このたびの懲罰は私にとって大変残念であり、受け入れがたいものです。ご理解ください。

 以上をもって一身上の弁明といたします。

【沼朝令和31219日(日)号】

 

   

 

 小澤隆議員の懲罰賛成討論

山下議員は不正確な法令解釈に固執と違反

 私は、山下富美子議員に対する懲罰の動議に、賛成の立場から意見を述べます。

 山下議員による今回の一般質問は、沼津市議会の申し合わせ事項を順守することなく、不十分な調査、聴き取りによって、一面的な理解による不正確な内容で展開されました。乱暴な印象を与え、恣意的で曖昧な、市民の誤解を生むようなものでした。

 そして、一身上の弁明では「削除は求められておりません」と発言がありました。しかし、少なくとも議長から正確さを欠く質問内容であることを指摘されながら、自身の主張に固執して何ら問題がない、としています。仮に誤りを指摘された、その場で、または一度指摘された内容を預かり、自身で再調査された後に誤りに気付き、認め、発言の削除を求めていれば今回の懲罰動議は行われなかったはずです。

 しかしながら山下議員から、そうした申し出がなかったことから、動議の提出となりました。

 そして、懲罰(特別)委員会の中で山下議員は一身上の弁明をされ、「学校の設置者は市長か、教育委員会なのかという点について答えていただけなかったので、『教育長、それは大きな間違いです』と確かに言いました。教育長は、残念ながら私の質問にお答えいただけていない。このことへの間違いの指摘が、なぜ品位に欠けるのか私には全く分かりません」と述べられました。

 答弁が食い違っているという意味で教育長に間違いだと言った、教育長が私の質問に答えていないから間違いを指摘した、懲罰には及ばないというような主張をされているものと思います。

 しかし、その主張は到底容認できません。山下議員が示されたやり取りの前後の発言を踏まえれば、その主張は、あまりにも無理筋で、あまりにも都合のいいものだからです。自身の発言と、それに対する答弁の、ほんの一部だけを抜き出して、都合のいい主張をされているように思います。

 あえてここで、「答弁が食い違っているという意味で教育長に間違いだと言った」などといった山下議員の主張を強く否定いたします。そのような理由が懲罰に値しないのは当然だったのです。ましてや、厳しく教育長や市長をただしたからだとか、議会の中で少数派だからとか、そういった理由で動議が行われるはずもありません。

 なぜ、今回の事案が懲罰に値するのか、何が問題だったのか、今一度それを示します。

 まず、山下議員の法令解釈は不正確です。そして不正確な法令解釈からくる自身の発言を、文科省からの聴き取りなどとも取れる形で披露されています。勝手な拡大解釈をしながら行われました。

 例えば、「学校の設置者は誰ですか、それは地方公共団体であって教育委員会ではありません」という発言や、「この各設置者とは地方公共団体であり、つまり市長のことです」といった部分です。

 ここでいう学校の設置者である地方公共団体には教育委員会が執行機関として含まれています。地方公共団体が市長だけを指しているのではありません。山下議員の「教育委員会ではありません」という発言は不正確な解釈によるものです。

 山下議員は地方自治法第149条の「普通地方公共団体の長は公の施設を設置し管理し及び廃止すること」という部分だけを捉えて、地方公共団体イコール市長と認識しているように思いますが、言うまでもなく、地方自治法や学校教育法、教育基本法は、憲法を頂点として存在する一般法です。一般法は、あくまで広い意味で適用されるものであり、特定の事項について特別法が制定されていれば、特別法が優先されるのが法律の立てつけです。

 このケースでの一股法は地方自治法で、特別法は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」、略して「地教行法」です。地教行法の第21条に、学校の設置・管理・廃止は教育委員会の所管であることが示され、第22条に、首長が行えるのは教育財産を取得し及び処分することと、教育委員会の所掌に係る事項に関する契約を結ぶことが

職務権限として示されています。

 学校は、地方公共団体の執行機関である教育委員会が設置や廃止を決め、首長は教育委員会による設置や廃止の決定を受けて、契約や予算の執行を行うのであります。

 山下議員の法令解釈は、特別法は-般法に優るという特別法優先の原理を踏まえておらず、あまりにも不正確で乱暴です。そして、文科省に山下議員が主張されるような見解がないことは、議長の命による議員派遣でも確認が取れています。

 一方で山下議員は、自身の認識が文科省のお墨付きであると他者に誤認させるような発言をされています。そして、文科省がお墨付きを与えているとする自身の主張を認めない教育長に対して、「それは大きな間違いですよ」と発言され、同様に自身の主張を認めない市長に対して、地方自治法

244条の2に規定する、「公の施設の設置、管理及び廃止により学校の設置者たる地方公共団体」という部分を拡大解釈し、市長が、その権限を議会の議決によって執行できるものとしながら、「これ文科省にも確認したんですね。残念です」との発言をされています。

 山下議員は、不正確な認識を披露して、あたかも自身の認識について、そのお墨付きがあるかのごとく文科省の名を挙げ、市長、教育長の答弁を間違いだ、残念だと断じることで市長、教育長を侮辱し、また、文部科学省と相互の信頼関係及び沼津市に対する市民の信頼を傷つけてしまっているのです。

 また、こうした不正確な認識による山下議員の主張が、第一、第二地区や、その他の地区における今後の学校の適正配置に悪影響を与える恐れも十分にあるのです。

 これら一連の発言が、議会の権威と品位を汚しているのです。

 山下議員の一連の発言を認めるということは、市民の皆様への誤ったメッセージを沼津市議会から発信するということです。決して看過できるものではありません。

 憲法において保障されている言論の自由は、極めて大切なものであります。しかしながら、議会において無制限に、偏見による認識を語ってもよいのでしょうか。これは議会で、いくらでも嘘をついてもよいということにもつながってしまいます。さらには、議会において他者を中傷してよいはずもありません。

 一般質問の発言について議長から問題点の指摘があっても山下議員は問題点を受け入れることも発言を訂正することも、ついにありませんでした。

 懲罰がなく、そのままにしておくのだとしたら、市議会として問題をはらんだ表現を認めてしまうということになりかねません。

 このたび、なぜ一人の議員に対して懲罰を科すことを議論してきたのか。 たった一人の議員に対して、いわゆる多数派が数の力で抑圧したいからでしょうか。たった一人の議員に対して嫌がらせをしたいからでしょうか。たった一人の議員から言論の自由を奪いたいからでしょうか。そのいずれも違います。

 沼津市という公の発展を心から願い続ける者が、一人の人間を攻撃するため.に、ただ言葉尻を捉一えるだけで、議会や委員会のたくさんの時間、たくさんの労力を利用しようなどという考えを持つのでしょうか。

 繰り返しになりますが、個人攻撃のためではなく、あくまでも、この沼津市議会のために懲罰が必要です。

 以上、今回の山下議員の一般質問の内容は、地方自治法第132条「言論の品位」、沼津市議会会議規則第5章規律第152条「品位の尊重」で規定する沼津市議会の品位と権威を著しく汚すものであり、十分に懲罰に値するものであることを改めて申し上げつつ、山下富美子議員に対する懲罰の動議に対する賛成の討論といたします。

【沼朝令和31219日(日)号】

退位特例法案全文

2017年05月19日18時39分43秒0001k

平成29年2月18日(土)沼朝記事「大沼市長施設方針」

2017年02月18日05時17分30秒0001s

平成29年2月17日(金)沼津市議会2月定例会:大沼市長明言

2017年02月17日16時19分58秒0001k

栗原市政に「ノー」平成28年10月31日(月)静新記事・沼朝記事・毎日石川記者

 

沼津市長に新人大沼氏

投票%4094% 現職栗原氏に大差

2016年10月31日05時25分15秒0001k 

任期満了に伴う沼津市長選は30日、投票が行われ、即日開票の結果、無所属で新人のIT企業社長大沼明穂氏(57)が、無所属で3期目を目指した現職栗原裕康氏(67)11自民、公明、民進推薦口を破って、初当選を果たした。投票率は低迷した前回選(3621%)を上回り、4094%だった。

大沼氏はIT企業など成長産業の誘致や18歳以下の医療費無料化などを訴え、「沼津浄変える」とアピール。現市政の批判票を取込んだ。長年の懸案ンなっている鉄道高架車業についても賛否を明言せず、高架賛成派、反対派双方から一定の支持を得た。

 栗原氏は、主要政党に加えて産業界など幅広い団体の推薦を得て組織戦を繰り広げたが、票を伸ばせなかった。

午後1010分すぎ、沼津市本町の大沼氏の事務所に当確の一報が届くと、集まった約100人の支援者から大きな歓声と拍手が沸き上がった。花束を受け取った大沼氏は満面の笑みで「沼津を変えたい人たちの信念が市民に届いた。みんなでこれからの沼津をつくっていこう」と声を張り上げた。

 

「市政不満の受け皿に」

(解説)低迷する沼津市を立て直すトップに、市民は市政刷新を訴えた新人大沼明穂氏(57)を選んだ。有権者が「変化」へのかじ取り役を託したとも言えるが、実際は現市政に不満を持つ多くの市民が"第三勢力"として、大沼氏を強力に支持したにすぎない。

市内は深刻な人口減少や中心市街地の衰退、進展が目に見えない鉄道高架事業など閉塞(へいそく)感に満ちている。IT企業など成長産業の誘致や保育料の近隣市町以上の軽減など、訴えた政策を実現するために、大沼氏は早急に財源の裏付けとともに具体策を示す必要がある。

長年の懸案の鉄道高架事業について、大沼氏は選挙戦で「財政が懸念されるため検証したい」との姿勢に終始した。鉄道高架は川勝平太知事が「不退転の決意で取り組む」と進め、市議会内でも推進派が28入中22人を占める。推進するのか、見直すのかー。まずは大沼氏なりの「結論」を議会側からも求められるのは必至だ。

(東部総局・田村和資)

【静新平成281031()朝刊一面】

 

栗原市政に「ノー」

 沼津市長選本社出口調査

「評価しない」52%

 鉄道高架化争点ならず
2016年10月31日05時26分16秒0001k 

 沼津の現状に不満を募らせた有権者が現職に「ノー」を突き付け、"現状打破"の希望を新人の大沼明穂氏(57)に託した。30日に投開票された沼津市長選の期日前投票で静岡新聞社が有権者600人に行った出口調査では、現職の栗原裕康氏(67)28年間に対して52%が「評価しない」と回答した。市政刷新を託された大沼氏。今後4年間、人口減対策や中心市街地の活性化など山積する課題への対応を求められる。(東部総局・中村綾子)

 栗原氏の28年間について「どちらかといえば評価しない」(32%)「全く評価しない」(20%)と現状への不満を訴えた層の多くが大沼氏を支持。有権者からは「何も変わらなかったと感じる」(40代女性)「経済も子育ても、近隣市町に後れを取っている」(60代男性)など、厳しい現職批判の言葉が寄せられた。「どちらかといえば評価する」は30%で、「とても評価する」と答えた人は全体の5%にとどまった。

 栗原氏が強い姿勢で推進を訴えた鉄道高架事業について尋ねたところ、「財政面の検証をしたい」などと態度を明確にしなかった大沼氏が反対派の9割弱から支持を受けた上、賛成派の4割も取り込み、今回の選挙では鉄導同架が明確な争点にはならなかった。事業について「分からない・無回答」とした人も全体の25%に上り、都市計画事業の認可から10年が経過した現在も市民の理解が進んでいない現状をうかがわせた。

 自民党支持層の5割弱が大沼氏に流れ、主要政党の推薦を受けて組織戦を展開した栗原氏と二分する結果になった。全体の3割を占める無党派層のうち、約7割が大沼氏を支持した。

 

 栗原氏「私の力不足」

 沼津市上香貫槙島町の栗原裕康氏(67)の事務所に栗原氏敗戦の一報が伝えられると、事務所内に集まった支援者からは「えー」「まさか」とどよめきが起き、陣営関係者は一様に硬い表情を見せた。栗原氏は「万全の応援態勢をとっていただいたにもかかわらず、このような結果になったのはひとえに私の力不足」と頭を下げた。

 28年の実績や国、県との強いパイプを前面に打ち出し、政党や各種団体の推薦を得て圧倒的な組織力で戦った選挙。相手候補に票差をつけられた結果に「過去の市政が市民から否定されたということ。深く反省している」と受け止めた。

 推進を訴えてきた鉄道高架事業については「ぜひ進めていただきたい」とし、「政策を地道に、堅実に前に進めてきたつもりだが、市民は劇的な成果を望まれたと思う」と述べた。

【静新平成281031()朝刊三面】

 



大沼氏が初陣飾る

 市長選挙 栗原氏三選ならず

 投票率は前回を上回る

 次の四年間の市政の舵取り役を選ぶ市長選挙は三十日に投票が行われ、新人の大沼明穂氏が当選した。今回選挙も前回選挙と同様、現職と新人の一騎打ちとなった。鉄道高架を争点だとした現職に、再検証の必要性を主張した新人。また、自民、公明、民進各党と連合の推薦を受けた現職に対して、市民レベルでの支援態勢となった新人。対照的な両氏の争いにおける投票率は4094%。前回を若干上回った。

 鉄道高架事業について、明確に推進を主張した栗原氏に対して、大沼氏は、いずれとも結論を示さず、財政など改めて検証すべきだとの姿勢を貫いた。このため、大沼氏を支援する中にも、もどかしさやイライラ感を募らせる向きがあったことは否定できない。また選挙に臨む態勢も、大所帯の栗原氏陣営と市民グループが集まって手探り状態で運動を進めた大沼氏の陣営だったが、現状の停滞感への不満から大沼氏への期待が高まった。

 当選が確実となり、大沼コールで迎えられた大沼氏は、支援者と握手を交わし、頭を下げ、「皆さまのおかげで当選できた」と第一声。「皆さまの声をまとめ、共に実現するために死に物狂いでやる。沼津が好き、沼津を何とかしたいという皆の思いが、ヒシヒシと伝わってきた。市民が政治に参加することを実感して市をつくり、子ども、孫達に譲り渡していく、そういうことをする時が来たと思う」と話した。

 一方、敗戦の結果を受け、支援者の前に姿を現した栗原氏は「万全の応援体制の中で、このような結果になったことは、ひとえに私の至らない…不徳のいたすところ。ご支援いただいた方に心からお詫びしたい。新しい市長には、ぜひ頑張ってもらいたい」と語り、敗因としては、「私の市政が市民から評価されなかった」とした。

 市長選挙の開票結果

 当 四三、一五九票 大沼明穂57無新

   二四、五三八票 栗原裕康67無現

【沼朝平成281031()号】


沼津市長選 毎日新聞のweb解説

3選阻んだ「沈滞」
 沼津市長選は新人の大沼氏が現職の栗原氏に圧勝した。大沼氏が勝ったというより、栗原氏が惨敗した選挙だった。

 3選を目指す栗原氏に立ちはだかったのは、大沼氏ではなく沼津の沈滞だった。人口流出、中心市街地衰退、地価低下。「県東部で一番都会的な沼津を取り戻す」と栗原氏は主張したが、「沈滞の張本人は栗原氏」と有権者は判断した。栗原氏の得票2万4538票は、前回得票の約69%に過ぎない。自民、民進、公明の主要3政党が推薦し、市内経済団体などの支持も得ていながら、これほど票を減らす現職も珍しい。

 一方、大沼氏が戦った相手は栗原氏ではなく、政治へのあきらめだった。

 大沼氏の掲げた政策は栗原氏と大きな違いはなかったが、選挙戦ではチラシなどで「沼津市民の皆さん、変えるなら今」と強調し、栗原氏以外の選択肢があることを有権者に印象づけた。前回36・21%だった投票率は40・94%と4ポイント以上上昇。元々あった栗原氏離れに加え、これまでの政治に期待をしていなかった層が「変革」を求めて投票し、結果的に大沼氏の圧勝につながった。

 大沼氏が直面する最初の壁は、過半数が栗原氏を応援した市議との関係改善だろう。でも「沼津を元気にしたい思いは同じ」(大沼氏)なら、壁は乗り越えられると思いたい。
【石川宏】

 

 

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