よさこい東海道実行委が解散

 従来形式での開催は昨年を最後に

 よさこい沼津まつり実行委員会(委員長・芦川勝年沼津商店街連盟会長)は、三十年度第2回実行委員会を先月、沼津商工会議所で開き、昨年十一月に開いた第22回よさこい東海道の事業報告を行うとともに、同実行委の解散を決め、従来体制での「よさこい東海道」の開催は昨年をもって終了することになった。

 今秋の企画は未定ながら

 新組織や継続を探る動きも

 同実行委は、商連を主体とした若手商業者らが中心となって組織し、中心商店街の振興を目的に市民自らが企画運営する祭典として平成九年に開いた「沼津ワールドダンスフェスタ」に始まり、翌十年、「よさこい沼津祭り」としてスター卜。

 市内でも多くのよさこいチームが誕生。年々、全国からの参加チームも増え、「よさこい東海道」に名称を変えて続いた。全国的に見て毎年十一月上旬の開催は、よさこい祭りの中でも最終盤の開催時期であることから「一年の踊り納め」として各地のよさこいチームが参加することで毎回、市内外三千人余りの踊り子が集まる大きな祭典に成長していた。

 商店街振興という位置付けの開催については、かねてから商店街関係者からも異論が出ており、昨年、中心市街地の各商店街に対し「よさこい東海道」について初のアンケート調査を実施したところ、今秋に予定される「ららぽーと」のオープンなど商業環境の激変が予想される中、「今、商店街が置かれている状況に対する対策を真剣に考えることに重点を置いてほしい」との回答もあった。

 このため、昨年七月に開かれた第1回実行委員会では、芦川委員長が現状を説明し、開催中止を打診したが、「時期的に出場に向けて準備しているチームもある」と、反対の声も大きく、参加チームの出場要件を一部変更するのにとどめ、現実行委として最後の「よさこい東海道」を例年通りに開いた。

 先月の実行委では、事業報告に続き、芦川委員長が実行委解散を決めるに至った経緯に言及。主な理由として次のような説明が行われた。

 「商店街振興という当初の目的が希薄化することに合わせ、組織の主体となって開催すべき商店街に現環境下で今以上の協力を望むことができない」こと。

 商店街を構成する店舗も変わり、当初から運営に関わる中心メンバーも少なくなる中で、「現在の実行委員会を構成する組織とメンバーで、よさこい東海道を管理・運営することは事故防止や安全管理等の面で限界。現組織を再構築するのは非常に困難であると判断していることから、現組織を解消して原点から考え直すべき」こと。

 あまねガードは東側を踊り子、西側を観客が通行するよう安全対策しているが、三千人を超える踊り子、それに続く観客の移動は当初から課題として指摘されており、「道路形状等が改善されていないことから演舞場の確保、踊り子、観客の駅南北のスムースな移動、さらにはトイレや待機スペースの確保等が十分行えず、安全管理、円滑な運営等の面で限界がある」こと。

 同実行委の解散により、現時点では今秋の「よさこい東海道」の開催については未定だが、よさこいチームの関係者ら有志による新組織の立ち上げや開催継続に向けて摸索する動きもある。

 実行委員会の後、インタビューに答えた芦川委員長は「実行委の解散は、商店街の今後を考える一つのきっかけとし、市民と商店街の気持ちとしての距離感も詰めていきたい」と話した。

 そして二十二年間を振り返り、「自分達が始めたまつりが評価されて市から補助金が出るようになり、市や沼津商工会議所の指導で最後まで収支に赤字はなく、大きな事故もなく開催できた。商議所が事務局を務め、ほとんどの職員が運営に参加し、市の関係部署の職員や退職者も含めた全面的な協力があったからこそ続けられた」と関係者の協力に感謝した。

 また、市内のよさこいチームは、「高知をはじめ、どこに出しても、遜色ないレベル」となり、よさこい東海道は全国各地で行われる、よさこい祭りの中でもかなり高い水準にあると感じている。この祭りは単なるイベントではなく、市民、踊り子、協力者達の理解と共感に基づく祭りで、豊かだと感じられる日常生活の延長線上にある」と位置付けた。

 芦川委員長自身は実行委解散と同時に、よさこい東海道から身を引くが、時代のニーズに沿った新体制による祭りの継続には期待を寄せており、「(新体制では)情報を共有し合い、信頼関係が構築できるような組織運営を」と願っている。

 そして今後に向けた助言として、「よさこい東海道に対する愛情、来街者サービスの向上に向け、祭りに携わる全ての人が、それぞれに頑張っていることは分かっているが、一部が突出し、どこかにしわ寄せが行けば全体でバランスを崩すことになる。情報を共有して一元化し、事前に適切な対策を講じることが開催の第一条件」だと指摘。

 組織として動かしていくためには、「一つ条件が変われば発生の可能性が高まる事故や他への影響を可能な限り想定できるような想像力を持って全体を統括し、機能させることが一番重要な要素だが、近年では、行動を起こす前の実施部会への事前報告が滞るケースも見られるようになってきた。『皆を楽しませる』という目的は、手段を正当化しない。この点については冷静に考えてほしい」としている。

【沼朝平成3126()号】

2019年02月06日06時42分35秒0001



沼津の「よさこい東海道」 実行委が解散決める 開催継続へ有志模索

 沼津市甲心街で毎年開かれている「よさこい東海道」の実行委員会が31日、市内で会合を開き、「現状では来年度以降の開催が困難」として実行委の解散を決めた。これまで22回続く主要イベントのため、有志らが2019年以降の継続を模索している。

 発起人として主な運営を担ってきた市商店街連盟から、商店街の協力を得られない▽規模が拡大し安全確保が困難ーなどの理由が説明された。

 同イベントは全国からよさこいチームが集まり中心市街地で演舞を披露し、18年は2日間で45チーム、2600人の踊り子が集まった。よさこいチームの関係者や有志らはイベントがにぎわい創出や交流人口拡大につながっているとして、開催を担う組織づくりに動いている。

 市は商業振興を目的としたイベントとして実行委に補助金500万円を交付していた。市商工振興課の担当者は「今後の動きを見守りたい」と話した。

【静新平成3121()朝刊】

2019年02月01日09時49分03秒0001