辻畑古墳発掘現場市民説明会頃の静岡新聞記事

「辻畑古墳国内最古級か」沼津

 250年ごろの高杯出土

 沼津市教育委員会が昨年から発掘調査を進めている同市東熊堂の前方後方墳「辻畑古墳」で、古墳時代初頭にあたる250年ごろのものとみられる高杯(たかつき)が見つかったことが7日、分かった。高杯を手掛かりに検証した場合、東日本では最古級、国内でも最も古い前方後方墳に分類される可能性があり、調査作業を行う同市文化財センターは「重要な手掛かり」として注目している。

 高杯は古墳を囲む溝「集濠(しゅうごう)」の底で見つかり、破片はほぼそろっている。皿部分の浅さや割れ目から見た作り方、くびれ部分の筋の入り方などの特徴を基準に当てはめた。ほかにも鏡や矢じりなどが出土しているため、一つ一つの細かな特徴を分析して、2011年までに報告書にまとめる予定。

 辻畑古墳の前方後方墳は長さ60㍍。県内では前方後方墳は静岡市の牛王堂山3号墳(78)、富士市の浅間古墳(103)など5基が確認されているが、いずれも4世紀の築造。「辻畑を3世紀とすれば、破格の大きさ」(同センター)という。

 市の文化財保護審議会委員を務める静岡大の滝沢誠教授(考古学)は「年代が古い出土品からみると国内最古クラスといっても過言ではないが、全体の年代幅もあり、今後の調査で全体像をつかみたい」と話した。

 辻畑古墳では13日午前10時と午後1時半の2回、現地説明会が行われる。

(静新平成2198()朝刊)
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辻畑古墳 保存検討は分析終了後

 都市計画道路で沼津市長

 国内最古級の可能性が指摘されている沼津市東熊堂の辻畑古墳の保存について、栗原裕康市長は29日の定例会見で「学術的価値が明らかになった際に検討したい」と述べ、同古墳が用地となっている都市計画道路「沼津南一色線」の建設計画をただちには変更しない考えを示した。

 市教委は2011年までに学術的価値を分析し、報告書にまとめる予定。栗原市長は「分析が終わってから、学術的価値や見た目も含めた出土物のインパクト、市民が訪れて『なるほど』と思うに値するかを検討したい」と述べた。その上で「庁内でまだ打ち合わせはしていないが、世間の注目を無視して進めることはできない」とも述べ、価値が判明するまでに、古墳に触る工事をしない可能性を示唆した。

 市教委が発掘調査をしたところ、古墳時代初頭にあたる250年ごろとみられる高杯(たかつき)が前方後方墳を囲む周濠(しゅうこう)から見つかった。現地説明会には千人以上が詰め掛けるなど、関心が高まっている。

(静新平成21年9月30日朝刊)